気づいた恋心
隼人と竜、二人から告白されてから数日がたった。
まだ気持ちの整理がついていないのに、二人に呼び出された。
「!こっち、こっち!!」
なんで、この人たちはこんなに普通なんですか!?
「今日はどうしたの?」
「んー?俺のバイト探しでーす!!」
「どーせ、暇だろ?」
そりゃ、暇でしたけども・・・
気まずいのは私だけですか?
「行くか。」
「竜ちゃん、俺、服屋とがいいなー。」
「自分で探せ。」
「ごめ、ごめんなパイ!!見捨てないで下パイ!!!」
「ってか、求人誌くらい自分で何とかしろよ。」
「・・・って、求人誌もないの?ゼロからのスタートじゃない。」
「俺らしくね?」
「「馬鹿。」」
二人があまりにも普通で、身構えていた自分が恥ずかしかった。
「んで、求人誌ってどこにあんの?」
「どこでもあるよね?」
「あぁ、コンビニにも置いてあるしな。」
「んじゃ、コンビニ!!」
*
「で、どこがいいわけ?」
いろいろなところがあるわけですし。
「服とか!あ、衣類系か、女の子がいっぱいのとこ。」
なんかむかつく。
でも、なんで?
私はこのもやもやの正体を知らない。
「とりあえず、衣類系のショップでも回ってみるか。」
「おー。」
「早く終わらせて、ケーキ食べたいなあ。」
「新しく出来たケーキバイキングのとこ行ってみる?」
「行く!行きたい!!」
「「(可愛い・・・・)」」
______
「へぇ、黒銀の3Dを卒業ね。よくまあ、退学になんなかったね。うちは茶パでも。チャラ男でも、仕事をこなしてくれればいいから。ただし、仕事が出来なきゃ即クビだからね。その覚悟は?」
「もちろん。」
「んじゃ、採用。とりあえず、三日後から働いてもらうよ。遅刻厳禁。時間厳守。」
「おっしゃ。」
「私のことは店長、リーダー、ボスのどれかで呼ぶこと。」
「姐御!!」
「さっそくクビにされてぇか?馬鹿。」
「んじゃ、姐さんで!!」
「・・・・まあ、いいだろう。」
「やりー!!りゅーうーーっ!!採用だってさー!!」
隼人の雄叫びが聞こえた。
採用って聞こえたけど、本当に?
「竜、聞こえた?」
「採用、だってな。」
「よっぽど物好きの店長さんだったのね。」
「確かに。」
よかった。
これで、ケーキが食べられる。
「採用だってさ。イェイ!」
「おめでとう。クビにならないようにね。」
「三日後からスタートデース!」
「がんばって。」
今度隼人がいるときに買いものに来ようかな。
*
「ケーキって駅前だっけ?」
「タケが駅に行けばすぐわかるって。」
「あ、タケちゃん情報なんだ?」
「おー。真希ちゃんと行ったんだと。」
「へー・・・私、真希ちゃんってそんな好きじゃなかった覚えが・・・。」
私、何か忘れてる。
それより、なんか注目されてる気がする。
二人とも、そういえばかっこいいもんね。
隼人なんかガキ過ぎで忘れてたよ。
竜も普通にかっこいいもんなあ・・・。
「あれー?隼人と竜じゃん。おっひさーv」
「ひさしぶりぃ、元気だったぁ?」
なんか、すごく派手な人たちが声をかけてきた。
「知り合い?」
「おー・・・中学のときの同級生。」
「ちょっとー!!元彼女って紹介してよ!!ってか、隼人の彼女?タイプ変わったねv」
「って、元彼女じゃねぇだろ。勝手に言ってただけじゃん。」
「えー?でも、あたしのヴァージンとったのは隼人だよ?」
「うっせぇなあ。それに、俺、昔からタイプは変わってませーん。お前と真逆で可愛いでしょ?つーか、彼女じゃないの。」
「じゃあ、竜の彼女ぉ?私ねぇ、竜と一緒にいたいなぁ。」
「違ぇし。でも、邪魔すんな。」
「えぇー、竜が冷たいぃ。ひどぉいぃーっ。」
「ね、彼女じゃないこと遊んでるってことは、どうせ彼女いないんでしょ。より戻そうよ。私さ、欲求不満なのよv」
「あぁー、ずるぅいぃー私も竜とよりもどしたいなぁーだめぇー?」
「「つーか、より戻すも何も付き合ってなかったし。」」
この人たち、すごく苦手だ。
私、ここに居たくない。
触らないでとか、くっつかないでとか、嫉妬してるみたいな感情が渦を巻く。
嫉妬・・・?
そっか、そうだったんだ。
「私、帰るね。中学のときの同級生なんでしょ?ごゆっくり。」
私、泣きそうだ。
そっか、うん。
私は・・・
―いつの間にか好きになってたんだ・・・・
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竜or隼人
あとがき。
選択制にしました。
やっぱ、二人は選べませんでした。
でも、終わりよければすべてよしって言えるような連載の終わり方にしたいと思ってます。
最後までお楽しみください。
瀬陰暗鬼