アジア支部に来た。
肆拾伍
「リナリーと任務って初めて。」
「そうね。ってか、神田がいないのが初めてなんじゃない?」
「うん、そうだね。」
神田から先日いきなりキスをされて、私は突き飛ばして最低、と言ってしまった。
それから、一度も神田と会っていない。
そういえば、一回目も二回目も一緒で、しかも両方とも庇ってもらった。
三回目の任務はちょっと、特殊だった。
でも、任務先には神田がいた。
「私、毎回神田に助けられてる。」
「今回はそんな危なくないから。」
「うん。」
「気晴らしにもなるわ。」
「そうね。」
神田がいない、それが安心するなんて思わなかった。
だけど、今は彼に会いたくない。
到着したアジア支部って所は本部よりも広かった。
「こんにちは。」
「こんにちは、バクさん。」
「久しぶりだね、リナリーさん。」
「そうですね。あ、彼女は。日本人よ。」
「はじめまして、バク・チャンです。」
「です。よろしくお願いします。」
「噂で聞いているよ。神に呪われたエクソシスト。」
「嫌な呼び方。」
聖職者なのに呪われてるってのは如何なものだろうか。
しかも、悪魔にではなく、神様に呪われているなんて。
「さて、二人にはAKUMAの討伐をしていただきたい。」
「急激に増えたんですって?」
「レベル1ばっかりなんだけどね。やっかいなんだよ。」
レベル1なら大群でもなんとかなる。
レベル1ならだけど。
それ以上になると大群では勝ち目がない。
改良されたの精度を見る、いい機会だ。
「早速行きましょう。」
「うん。」
「リナリーさんは北部に。さんは西部に向かって下さい。」
二人とも行く場所はばらばら。
だけど、いざというときは連絡を取ると約束した。
「じゃあ、気をつけてね。」
「うん。リナリーもね。」
*
西部。砂漠が多い地域ってのは聞いた。
町自体も砂に埋もれそうで活気がない。
「エークソシストォv」
大量のAKUMA。
話に聞いていた通り、レベル1だった。
−イノセンス第二開放。
「Five.」
戦いながら改良されたについて気付いたのは、球のスピードと威力が上がってること。
一発で一気に2,3体は壊せるくらいアップした。
きっと兄さんが改良したのはここ。
「みーっけ。」
背後に見覚えがある子がいた。
「あなた、以前に汽車であった…!」
「そうだよ。ロード・キャメロットでーす。」
−ノアって言って、千年伯爵の仲間です。
アレンの言葉が頭の中で木霊した。
「ノア…!」
「あれ?知ってたのー?」
「アレンに聞いたの。」
「ああ、アレンね。」
どう見たって子供。
そんな子が、敵、だなんて。
「ちなみにティッキーも僕らの仲間だよォ。」
あの人も敵。
「ねぇ、おねぇーちゃんは、だよね?」
私はこの子に名乗った覚えはない。
「これ、なーんだ。」
ロードちゃんが目の前に出したのは刀。
そこにあった刀に目を疑った。
「紅龍…?」
「せーかい。ほしい?」
「すごく、欲しい。」
「じゃあ、一緒にきて。」
「それはできない。」
何故ここに紅龍があるのだろう。
紅龍はあの時AKUMAに持ち去られた。
わざわざ壊さずにとって置いたってことになる。
そのようにするメリットは千年伯爵にはないはず。
紅龍がハートならば、そこで戦争は千年伯爵の勝利で終わるのだから。
「じゃあ、強行手段を使うね。」
「え?」
背後にもう一人のノアがいた。
あの時会った、ティキ・ミック。
強い力で引き寄せられ、ハンカチで口と鼻を塞がれた。
頭がくらくらしてきた。
何か、薬品を嗅がされたと思う。
地面には紅龍とが並んでいた。
NEXT
反省。
主人公ちゃんの秘密がそのうち明かされます。
何故、幼いころからAKUMAに…千年公に狙われているかが!
瀬陰暗鬼。