別れのときがきた。
肆拾肆
「ねぇ、いつ帰れると思う?」
リナリーの発言で別れを感じた。
「お兄ちゃんたちどこかに行っちゃうの?」
「お兄さん、ちゃんとずっといる…!」
「邪魔だ、オレンジ頭。」
「お兄さん、怖いさ!」
「テメェの兄貴になった覚えはない!」
ラビの学習能力のなさには呆れる。
そのとき大きな光の空間の入り口が現れた。
「この光…!」
「帰る時間みたいだな。」
「帰ったらちゃんと本をヘブラスかに渡せよ。」
「はい。もちろんです。」
確か、幼い私はこのときたくさん遊んでくれたラビと離れたくなかった。
「ラビくん。また、あそぼ?」
「ちゃんが大きくなったら会えるさ。」
「うん。」
大きくなったらこのことすっかり忘れているのだけど。
「行くぞ。」
頭を撫でる大きな手。
振り返ったときにはもう見えなくなっていた。
再び大きな光が目の前に現れ、元の場所に戻っていた。
「この本がイノセンス…。」
「私、兄さんに報告してくるわ。」
「僕はイノセンスを届けてきます。」
「俺は寝不足だから寝るさ。」
自然に神田と二人っきり。
兄さんの言葉のせいで、少し緊張する。
「。」
「なに?」
「戻ったら渡せ、って。」
神田から一枚のメモを渡された。
こんなことをするのは一人しかいない。
その紙にはたった一言だけ書いてあった。
“会えてよかった”
たったそれだけの言葉に、涙が溢れた。
「?」
「私、初めてイノセンスに感謝した…!」
兄さんに会わせてくれてありがとう、とイノセンスに感謝を。
本当は大嫌いだけれど、今だけは最高の感謝を。
ふいに横を見るとこちらを見ていた神田と目があった。
泣いている自分が恥ずかしくなって、目をさすろうとしたとき、急に引っ張られた。
急な展開に頭がついていかない。
「んっ!……」
強い力で引っ張られ避けるまもなくキスされた。
「っ…イヤッ!」
胸板を強く押して今、精一杯の拒絶をした。
「最低。」
口から出たのは、最上級の非難。
NEXT
反省。
兄貴編終わっちゃいましたー。
寂しいなあ。
続きを楽しみにしてください。
ふたをあけたらしょーっく!ってのも大有りです。
瀬陰暗鬼。