コムイもラビも何を考えているのか解らない。
俺だって、男だ。
理性が持つだろうか。
肆拾
「私、床で寝るから、とりあえず、シャワー貸して。」
「勝手に使え。」
「うん。」
そう言ってはシャワーを浴びに行った。
本当は時間があれば大浴場に行きたいらしいが、今はそれよりも睡眠をとりたいらしい。
流れるシャワーの音がやけに響いていた。エロい。
と、思っていたら音が止んだ。
「神田、大きめのシャツある?あったら貸して。」
シャツなんてない、と言いたかったがはここに団服できた。
着替えは持っていなかった。
さすがに、団服では俺だって寝たくない。
めったに着ない、服の山からシャツを探した。
「団服の上に置いといてもらってもいい?」
言われたとおり団服の上にでかいシャツを置き、再び部屋の隅に戻った。
少しするとがシャツを着て出て来た。
「本当にこのシャツ大きいね。ぶかぶか。」
太ももまですっぽりシャツにおさまった姿。
ああ、ヤベェ…。
「神田?」
濡れた髪、垂れ落ちる雫。
エロい、此処が俺の部屋だという事をもっと自覚してほしい、など言いたい事は多々ある。
だが、は団服を持ってガサガサし始めた。
「何やってんだ?」
「ん?寝床作り。」
どうやらの中で床で寝ることは決定していたらしい。
流石に女を床に寝かせるわけにはいかない。
「ベッド使え。」
「でも、神田は?」
「床。」
「このベッドはもともと神田のなんだからそれじゃあおかしいでしょ。」
「女を床に寝かせるほうがおかしいだろ。」
「そういうものなの?」
「いいから使え。」
眠いって言ってたから気を使って言ってるのに渋る理由がわからない。
「神田、ありがとう。」
はいそいそとベッドの中に入り即爆睡。
規則正しい寝息が聞こえてきた。
自分もシャワーを浴びて壁を背に寝ようか。
しかし、シャワーの音は家具の少ないこの部屋に響く。
の眠りが浅いことは知っているからあまり音を立てたくない。
俺はとりあえず、この環境じゃ寝られる自信がない。
ふと、落ちていたの団服を見るとその横に砂時計が落ちていた。
それは、俺が渡したもの。
正直、こんなもの大切に持っていてどうするんだと思う。
大切に持っていたという事に驚きと喜びを感じるのは確かだ。
ただ俺は恋人になることを望んでいるわけじゃない。
ただ、他の奴の傍に居るのを見たくないと思うし、それなら自分が傍に居たいと思う。
泣かすくらいなら守りたいと思うし、その痛みを分かってやりたいと思う。
ラビが言うとおり昔の自分ではありえなかったことは分かってる。
ただ愛しいと思う、それだけだ。
*
「あのね、神田。」
結局俺は寝られなかった。
「床冷たかったでしょ?私、考えたんだけどこれからは談話室で寝る。」
…馬鹿だ。
談話室で寝るなんて、そんなのはいそうですか、なんて言えることじゃない。
「別に冷たくねぇ。」
「私の話理解してないでしょ。迷惑になるのが嫌だから談話室に行くって言ってるの。」
「迷惑じゃねぇ。」
「だって、神田は好きな人がいるんでしょ?勘違いされちゃうよ。」
それはお前だ、と言えたらどんなに良いだろう。
「ちょっと、黙らないでよ。」
気持ちを伝えたら、どんな反応をするだろう。
「!神田に何もされていませんか!!!」
ばん、と音を立ててモヤシが入ってきた。
完全に邪魔された。
「いい雰囲気のときは邪魔しちゃ駄目さー!!!」
そしてそれに続いてきたラビ。
「アレン、ラビ…?」
「あ、おはようございます。神田から何かされてませんか!?」
「あ、うん。シャワーとシャツとベッドを借りただけだから。」
「ってか、の今の格好、萌え…!」
「「死ね、馬鹿兎!!!」」
「なっ!?男なら当然思うだろ!!!」
は意味が分かってないらしく、キョトンとしている。
「あ、私着替えてくるね。神田、シャツは後で洗濯して返すから。」
がシャワー室に入った瞬間、ラビとモヤシに無駄にいくつか質問されたが全部無視して、食堂に向かった。
そのあと、コムイに早く修理をしろと脅しに行った。
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反省。
一晩の神田の葛藤でした。
いやあ…、主人公と神田の言い合いは書いてて楽しいです。
とぉーっても楽しいですよー♪
瀬陰暗鬼。