ああ、眠い。すごく眠い。
そういえば、最近は何故か資料とか書類の整理で寝ていなかった。



参拾捌



つい数分前、やっと休みがもらえた。
と、思った矢先、怪我人が多数医療班に運ばれてきた。


「班長、何かあったの?」

「コムリンがねえ。」


珍しく班長がまじめに働いていると思っていたら同族のコムイが事を起こしていたらしい。
私の久方ぶりの休みはコムイに邪魔をされたようだ。
いい加減にあのポンコツメカの製造は諦めたらいいのに。
あんなの作ってないでしっかり仕事をしたらいいのに。
こんな風に考えてしまうとイライラするだけだと解っているけれど、眠い…。


、大丈夫?」

「班長、私、コムリンをぶっ壊してきます。」

「ん。そしたら休んでいいからね!」

「ありがとう…。」


コムリンがいる場所では前回同様、コムイが破壊の邪魔をしていた。
壊そうとしているのは本部にいたエクソシストと科学班の皆。
でも、前回よりもコムリンがパワーアップしているらしく苦戦している。
そりゃ、失敗いを成功のもととするのはいいけれど、明らかに無駄な事をしないで欲しい。
どうせ作るなら暴走しないコムリンにして欲しい。
作らないのが一番だけど。


−イノセンス第二開放


私はイノセンスをかまえた。
ここからならばコムイに邪魔をされることはない。


「Five.」


大きな発射音とたくさんの人の驚いた顔。
コムリンを突き抜ける銃弾。


「あー!!僕のコムリーンッ!!!」


五月蠅いコムイの叫び声。
頭がボーっとする。ああ、眠い。


「オイ。」

「あ、神田…?…コムリン、壊れた?」

「脳天ぶち抜いて壊れてねぇわけねぇだろ。」

「…よかった。」


眠い。限界だ。
ふ、と意識が落ちる感覚だった。


「は!?」


この後は覚えていない。
多分、私は眠りに落ちた。




*



目を開けたら天井が見えた。
未だに頭がぼーっとしている。
久しぶりにぐっすり寝たけれど、まだ寝足りない気がする。
少し、頭が痛い気もする。


「あ、起きた?」


ひょっこりリナリ―が顔をのぞかせた。


「…おはよ、う。」

「まだぼーっとしてるね。えっと、30分くらい寝ていたわ。」


30分か…頭が痛いのは寝不足のせいだ。
思ったよりも時間がたっていない。


「神田が運んでくれたの。」

「…神田が?」

「うん。」

「後でお礼を言わなくちゃ、だね。」


記憶は神田が目の前にいたところで途切れている。
きっと、そこで寝てしまったのだろう。
あとで、神田に迷惑をかけたお詫びと此処まで運んでくれた礼をしよう。


「あ、起きたんですね!おはようございます。」

「おはよう、アレン、ラビ、神田。」


三人が部屋に入ってきた。
もしかしたら心配をかけてしまったのかもしれない。


「酷いなあ、僕は?」

「…見えてなかった。」


もっともコムイがコムリンで騒ぎを起こさなければあのまま私は自室で寝ていて、皆に迷惑や心配をかけることがなかったのに。
だからコムイは無視してもいいと思う。


「神田、ここまで運んでくれてありがとう。」


今度任務に一緒に出たときにでも、何かをごちそうしよう。


「じゃあ、話を始めていいかい?」


にっこりコムイが笑った。
こういう時は碌なことがない。


「実はコムリンが暴走して大量に部屋が壊されちゃったんです。」


ウインクしながらコムイは言った。
そんな軽く話す事ではない。



NEXT



反省。

コムリンはとっても都合のいいロボだと思います。
勘のいいかたはこの先どうなるかはわかりますでしょうが、拷問が始まります。

瀬陰暗鬼。