ここに来て、大切なものが増えた。
拾玖
ここ最近、ずっと医療班から外に出ていない日々が続いていた。
イタリアのある小さな村でAKUMAが大量発生して、たくさんファインダーが運ばれてくる。
小さな村なため病院がないらしい。
「、忙しそうだな。」
「ラビ・・・あんたも怪我?」
「いや、最近の顔見てねぇなーって。」
「私、忙しいんだけど。」
「見ればわかるさ。」
ここにいると、傷ついた人の情報は入ってくるけれど、無事な人の情報が全く入ってこない。
最近、神田にも会ってない。
前に任務に行く前に会ってから大分経った。
「結構怪我人多いな。ま、エクソシストも派遣されたって言ってたし大丈夫だろうけどさ・・・。」
苦戦してるんだってさと言うラビをみて不安を覚えた。
「あ、ちなみに派遣されたエクソシストはユウだけど?」
血の気が引いた気がした。
もし・・・なんて考えたらすごく怖くなった。
「一週間も帰ってきてないのよ、神田。」
「心配?」
「あたりまえでしょ!」
大きい声を上げてしまった。
「ごめんさ。ユウが帰ってこないのは前回の任務が終わってそのまま例の村に援護で行ったからさ。他にエクソシストが一人行ってるし大丈夫さ。」
そういわれても、こんな風に人が運ばれている状態だ。
心配をするに決まってるでしょう。
「ラビ!ちゃん!!」
「コムイ!?」
「何かあったの・・・?」
「今からここにエクソシストが運ばれてくる。ちゃんは治癒を急いで。終わったら二人とも準備をしてね。神田君の援護に行ってもらうよ。」
神田は、今一人で戦ってるんだ・・・。
「じゃあ、ちゃんはあとでね。ラビ、詳しく説明するよ。」
後方から運ばれてきた人の声がする。
早く終わらせて神田のところへ行きたい。
嫌な予感がするから。
「様、お願いいたします。」
「はい。皆さん、ここから出ていてください。」
『ハイ』
*
「ラビ!!」
「終わったさ?」
「傷は塞いだ。あとは、ゆっくり回復を待つだけ。」
「そっか。んじゃ、いこっか。」
「うん。」
私は大切なものが増えすぎたんだ。
教団の人が、皆が傷付くのが嫌になってきた。
特に、いつも一緒にいる人たち、リナリー、アレン、ラビ、コムイ、神田・・・は特別。
失うのが怖い。
すごく、怖い。
兄さんだけが大切だった今までとは違う。
増えすぎたんだ、大切なもの。
今まで唯一大切だった人を失って臆病になってた私。
真っ黒だった世界に色づけて、そんな世界から救ってくれた人たち。
失うことが怖い。
初めての感情。
お願い、もう誰も奪わないで・・・。
NEXT
反省。
えっと・・・烈火の31話同様初めの部分をなくしてしまったのです。
でも、こっちは烈火よりもあんまり、重要なもんじゃなかったんで、なんとなくで繋げました。
いや、烈火も重要じゃなかったかな・・・?
まあ、いいです。はい。
これは神田夢です。
神田は名前しか出てないけど・・・。(涙
瀬陰暗鬼