めんどくせぇと思った。










拾陸










「ユウ、昨日のあれ、何したさ?」

「うるせぇ。」

「だって、コップ落としちゃうようなこと言ったんだろー?」





あれからに会っていない。
避けられているといった方が正しい。
部屋が近いせいかよくすれ違うが、ここのところはすれ違いそうになると逃げていく。

気にいらねぇ。





「で、何したさ?それくらい言って楽になりましょうさ、大将。」





突っかかってくるラビがむかつく。





「ラビ!・・・と、神田。、見ませんでした?」





もっとむかつくのはコイツ。
モヤシ。





「見てないさ。」

「リナリーに修練場に篭ってるって聞いたから行ってみたんですけど、いなくて・・・。」

「アレンは別に避けられるようなことしてねぇもんなあ。」

「避ける?」

「ユウがさ、に避けられてんの。」

「あ、そうなんですか。それは、それは。」





嬉しそうな顔しやがって。





「まあ、パッツン男児の神田がに避けられているのなら好都合。僕、を探しに行きますね♪」





次会ったら六幻で斬り裂いてやる。





「あーあ。ユウ、アレンにさき越されちゃうさ。」

「なんだそれ。」

「あら?自覚なし!?」





自覚って何の自覚だ?





「アレンから聞いたんだけどさ、のこと任務中に庇ったんだって?いつものユウなら見捨ててるさ。」





モヤシんときは見捨てた。


あの時は・・・勝手に体が動いたんだ。





「ま、早く仲直りするさ。ユウが素直にならないなら俺も狙っちゃうよ?」





そういい逃げて、脱兎のごとく走り去っていった。




素直・・・?




涙を見たとき一瞬動けなくなった。

どう対処したらいいか悩んでいた。


無視できなかった。





「っ・・・・くそっ!!!」





変な銅像を蹴飛ばしてその辺にいた奴を脅かして、を探す。

モヤシよりも先に見つけたい。








*








修練場、食堂、コムイのところ、談話室。
いろんなところを探した。

あの女、どこ行きやがった!!





「あら?神田。」

は?」

「え?なら、医療班よ。大怪我人が運ばれてきたから急遽兄さんが・・・って神田!!邪魔しちゃ駄目よ!!!」





すぐ、ぶっ倒れるくせに!!!








*








「神田!?怪我したのか!?怪我をしてもめったにここにこないのに・・・」

「うるせぇ。は!?」

「今、治療中ですから入らないで欲しいと。」

「知るか!俺は言われてねぇ!!」





治療が終われば逃げるかもしてねぇと思ったら待っていられなかった。





!」





驚いた顔。





「か、神田・・・」





治療は終わっていたらしく、逃げようとしているのだろうか、目が泳いでいる。





「逃げるんじゃねぇ。」

「は、放してよ!!私、疲れたから部屋で寝たいの!!!」

「話をするくらいいいだろ。」

「よくないわ。ここは病人がいるところ。邪魔でしょ!!」

「別のとこ行く。来い。」

「嫌!って、引っ張らないでよ!!!」





とりあえず、人のいねぇとこに行く。








*








「何よ・・・用事、あったんでしょ・・・」





談話室に引っ張り込んだ。





「避ける意味がわかんねぇ。」





言いたくねぇと顔は言っている。





「その態度、気にいらねぇんだよ。」

「ごめん・・・あんなこと、言ったから・・・。」





医療班で見つけたとき以来、目を合わせない。





「神田は兄さんに似てるの。近くにいると平然、淡々としていられなくて、兄さんのことが脳裏に浮かぶ。兄さんが死んだのは私が弱かったからなの。
私を庇って死んだの。あのときの神田みたいに私を庇って死んだ。私は、AKUMAの残骸の中、だんだん冷たくなっていく兄さんを抱きしめていた。
その光景が鮮明によみがえってくる。私が教団に入団したのはAKUMAを見て、兄さんを思い出さないくらい強くなろうと決めたから。
でも、もっと落とし穴があった。それがあなたなのよ。避ける私を気に入らないと思うのは当然ね。でも、泣いているところを見て気にされるくらいならって考えたのよ。
自分勝手でゴメン、ごめんなさい。」





初めて涙を見て動けなかったのは涙を流す姿を見て、どうすればいいかわからなかったから。

二度目の涙のとき、動けなくなりながらも、一瞬抱きしめたいと思った。

3体のAKUMAに襲われたとき助けるために体が動いたのは・・・

三度目の涙のとき、泣いて欲しくないと思ったのは・・・

コムリンのときわざわざ落下を防いだのは・・・

昨日、和食だけは食べてやろうと思ったのは・・・

避けられてあまりにもむかついたのは・・・



のこと、気になるんだろ?



―素直になんないなら俺も狙っちゃうよ?





「避けられるより、泣かれるほうがましだ。」

「何よそれ・・・我侭にもほどがあるわ・・・。」





また、涙を流す。

涙は大嫌いだが、大嫌いじゃねぇ。





・・・」





抱きしめたいと思った。





「泣くな・・・」

「カン・・・・」





やっと、目が合った。

涙で潤んだ綺麗な青い目が愛おしさまでも表に引っ張り出してゆく気がした。





「あー!!神田!!!!また、を泣かせて。最低ですね。全くそんなんだから避けられるんですよ。大丈夫ですか?。」





モヤシに邪魔された。





「だ、大丈夫だよ。」





近づくな、モヤシ。

触れるな、モヤシ。


モヤシのくせに・・・





「あーあ、アレン、邪魔しちゃ駄目さー。(ユウがめっさ、イライラさ!!!)」

「邪魔するに決まってるじゃないですか。馬鹿ですか?ラビも。」

、大怪我したファインダーが、目を覚ましたんですって。」

「リナリー・・・」





全員見てやがったのか。





「神田、怒られる前に言っておくけれど、ここは誰でも入れる談話室だからね。」





ちっ・・・・忘れてた。

むしろ、ここに入るとき、ここがどこか気にしなかった。





「ユウ、まあ、仲直りしたんだろ?」

「うるせぇ。」





できたのか・・・?

邪魔入っただろうが。





「私、強くなるよ。泣かないくらい強くなるよ。このまま向き合わなかったら何のためにここにいるかわかんないもんね。ありがとう、神田。」





守りたい。

そんな感情も生まれた。










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反省。

うちの神田はアホの子です。(ぇ
神田視点ってめんどくさいことが判明。
でも、これ、神田夢だから神田視点は結構あるのねーん。
まあ、気長に・・・。
ラビいい人ッ!!!
使いやすいキャラはいいねぇ。(きゅん。
この話にタイトルをつけるなら初恋と自覚じゃないですかね?(うふふ。
楽しくなってきたわー♪

瀬陰暗鬼