眉目秀麗とはこういう人のことを言うのかもしれない。










拾弐










目覚めたらソファーで寝ている人がいた。


そして、アレンはいなかった。





「寝てる・・・。」





とりあえず、さらしで見えないが傷はなさそうだ。


それより・・・





「綺麗・・・」





思わず口に出してしまうくらい深く綺麗な黒髪。

枝毛とかないのかな・・・。

長いな・・・。

私も黒髪だけど、少し赤色交じりの毛もあるし・・・

どうせ、黒髪ならこんな風に真っ黒が良かったなあ・・・。



・・・。



触れてもいいかな・・・触れてみたいな・・・。





「失礼、します。」





すごくさらさら・・・。

ここまで素敵だとずるいよ。


男の人・・・だよね。

いいなあ・・・。



よく見たら、寝顔も綺麗だし・・・。


本当ずるいなあ・・・。




そんなことを考えていたらぐいっと急に引っ張られた。





「きゃっ・・・」





すごく強い力だったから抗えず、すっぽり腕の中に吸い込まれた。



いくら寝てて寒いから暖を求めるっていっても、私はないでしょ!?

人肌は温かいって言うけど・・・。


なにより、私がこの体制、苦しい!!





「か、神田・・・神田!神田!!起きて、神田!!!」





お願いだから起きてください!!





「っ・・・うるせえ。」





そんな不機嫌な顔されても・・・。





「言いたい事はいろいろあるけど、とりあえず話してくれませんか?」

「何やってんだ、お前。」

「あなたの髪を見ていたら急に引っ張ってこの体制にしたのはそっちでしょ。」

「人の髪は見せもんじゃねぇ。」

「減るものじゃないんだからいいじゃない。」





こいつと二人だと調子が狂う。


とりあえず、解放された。





「オイ。」

「何よ。」

「モヤシから聞いた。」

「何を・・・?」

「傷、お前が治したんだってな。」





アレン、喋っちゃ駄目だよ・・・。





「そうだよ。」





こっちを見る強い視線で、言い逃れはできないと思った。





「余計なこと、しやがって・・・」





え・・・?



だって、死なれるのは嫌だったから・・・





「なんだよ。」

「いや・・・死にそうだったじゃない。」





私のせいで死なれたら後味悪いじゃない。





「ちっ・・・何なんだ、その力。」





結局話さなくちゃいけないのか・・・。

アレンもどうせ話すなら全部話しておいてくれればよかったのに。





「兄貴関係か?」





なんで、神田が兄さんのことを知ってるの・・・?





「なんで・・・なんで、あなたが兄さんのことを知っているの・・・?」

「コムイが調べた。」





コムイが話してしまったのか・・・。


確かに神田のことを見て兄さんって言っちゃったけど・・・。





「どこまで知っているの?」





めんどくさそうな顔をして、知ってることを話してくれた。



兄さんが何故教団にいなかったか。


どんな人だったか。


いつ、どのように死んだのか。


ファインダーの記録。



最後の二つには少々誤りがあるけれど。





「私が呪いを受けたのは兄さんが死んで、ファインダーが駆けつけてくる間の時間。」





兄さんのことを知られている以上、隠せない気がした。


ただ、そのほかに、神田の目には逆らえない気がしたんだ。





「私は、を・・・自分のイノセンスを破壊しようとした。エクソシストになりたくなかった。いや、エクソシストっていう運命が・・・イノセンスの適合者っていうのが嫌だった。
イノセンスさえなければ、兄さんは死ななかった・・・。でも、イノセンスは壊れなかったわ。そして、私に呪いを残した。それが治癒の力。
この力を私が使い、傷を癒す。しかし、私が再びイノセンスを・・・神を裏切ったとしたら、私は死ぬ。そして、私が治癒したものに傷が戻る。」





遠まわしに私が神を裏切ればあなたは死ぬかもしれないと面と向かって言っているようなものだ。



そして、正しく言うと、二つのイノセンスを狙って襲ってきたAKUMA。




私を庇って兄さんは・・・・。





「オイ、。」





また、私、泣いてる。



神田の前だと自然に涙が出る。




なんでよ・・・。





似ているから・・・?





兄さんに似ているから・・・?







「泣くな。」

「泣いてない。」





泣いてるだろという目で見られている。





「神田・・・コムイにはあとで自分から説明する。アレンには詳しくは言っていないわ。だから、あなたの口からは誰にも言わないで。

そして・・・二度とあんなことはしないで。私を庇って傷付くなんて・・・そんなの無駄よ。」





私を庇う必要はない。


私のために死ぬ必要もない。



それだけじゃない。



あなたに、私を助ける理由がないでしょう?





「教団に帰るぞ。モヤシに連絡してくる。」

「わ、私も行く。そしてそのまま帰ろう。ホームに。」

「勝手にしろ。」





もちろん、そのつもりだし・・・。





「・・・・やる。」





投げ渡されたのは薬。





「何、これ。」

「・・・酔い止めだ。」





酔い止め・・・?

私が乗り物酔いをしやすいから・・・?


わざわざ貰ってくれたの・・・?





「っ・・・ありがとう、神田。」





人の優しさは暖かい。



どんなに凍った心も、涙も、きっと溶かしてしまう。





NEXT


反省。

神田さん、主人公泣かせちゃ駄目でしょー!!(ぇ
ほんと、良く泣く主人公だな・・・。
なのに可愛くないってどうよ。
なんで、こんなに可愛くないんだろう。
神田が綺麗だなーって思うのは僕の日常茶飯事。
だって、神田君は、美人さんだもの!!!!(ォィ
美形じゃなくて、美人さん。
それだけはこだわりたい。
次はギャグっぽく。
みんな大好き、●●●●が出ます。(ぇ

瀬陰暗鬼