日本からヴァチカンに来るときも汽車だったけど、あの時は死ぬかと思ったことを忘れていた。













ファインダーの人に案内されながらすごく走っています。

ってか、二人とも速いんですけど・・・。





















さん、大丈夫ですか!?」

「あ、あんまり大丈夫じゃないです。」

「掴まって下さい。少しは楽だと思います。」

「ありがと・・・アレン。」

「汽車がきます。飛び乗って下さい。」






















飛び乗り!?

風強いし、私はスカートなんですけど・・・。























さん、少し掴まってて下さいね。」



















ヒョイと軽々しくアレンは私を横抱きにした。

私、重いと思いますけど・・・。




















「ア、アレンッ・・・」

「絶対落としませんから。」



















アレンって年下だよね・・・?

だけど、男の子だ・・・。

着地のときも私に衝撃がこないようにしてくれたし。

アレンって紳士っぽい。





















「大丈夫ですか?」

「あ、ありがと・・・。」


























汽車に上から乗ったのって初めてだ・・・。

車掌さんがすごく困ってるじゃない。





















「黒の教団です。一室用意してください。」





















教団の名前を言っただけで上級車両の一室を手に入れちゃった・・・。

アレンが胸のローズクロスについて軽く説明してくれた。














さて、ここからが問題。

私、乗り物酔い体質なんです。

だって、日本には乗り物になんてないんだもの。

とりあえず、教団に来る前、船に酔い、馬車に酔い、汽車に酔いと大変だったのを覚えている。

寝てれば平気なんだけど・・・任務だし、寝るわけにもいかない。

とにかく、進行方向を向いて、窓側で風に煽られていれば少しは平気。











なんて考えている間に二人とも座ってるし・・・。

しかも進行方向に座ってるのは神田ユウ。

立っていると余計揺れを感じるし酔ってしまう。

かといって、わざわざ神田にお願いするのも・・・。
























さん、座らないんですか?」

「あ・・・ううん。座るけど・・・。」























せっかく私が座れそうなくらい詰めてくれてるけど、ごめん。

ここはお願いが嫌だとか言ってられない。























「あの・・・窓側に座ってもいい?」






















どうぞという意味なんだろうか。

真ん中に座っていたが、ずれてくれた。






















「ありがとう。」






















とりあえず、危機回避。























「あと、窓も開けてもいい?寒くなるのは嫌だから少しだけ・・・。」

「勝手にしろ。」






















やっと言葉を発した気がするんですけど・・・。




















「ありがとう。」



































*






















もう一つ問題発生。

アレンも神田もコムイから貰った資料を読んでる。

文字を読むなんて自殺行為もいいとこ。

絶対読めない。

でも、どこに行くかも知らない。

任務の細かい内容も知らないと不便だ。























さんは読まないんですか?」

「あ・・・うん。」






















読まないんじゃなくて読めないのだけども。





















「行き先はシチリア島の地中海沿いにある小さな港町。

 AKUMAはレベル2が3体は確認。

 イノセンスは船の中に在り、船のどこに在るかは不明。

 到着するころにはファインダーは殺られているな。」

























軽く説明したあとめんどくせぇと舌打ちをした。
























「神田、ありがとう。」






















多分、私が酔いやすいことに気づいていたんだと思う。

じゃなくきゃわざわざこんなめんどくさい説明なんてしない。











シチリア島か・・・遠い。

やばいな・・・。


































*





















さん・・・顔色悪いですね。大丈夫ですか?何かありました?」


















お蕎麦を食べなきゃ良かったと今更後悔しているんです。




















「ア、アレン・・・私に敬称はつけなくていいよ。リナリーみたいに気安く読んでいいからね。」

「はい!」























元気だなあ・・・。






















「オイ、新人。」





















新人と呼ばれたら反応しないことにしたんだ。




















「オイ。」

。ちゃんと呼んでよ。新人とかで呼ばないで。戦場に立ったらそんなの関係なくなる。」























気持ち悪いのに長台詞はキツイです。




















「ちっ・・・。」




















舌打ちしつつも呼んだのは苗字。

まあ、私も神田って呼ぶわけだし、別にいいか。





















「何・・・?」

「薬はねえのか?」

「持ってない。日本からヴァチカンに来るときに初めて自分でも知ったから。薬の存在だって今あなたの言葉で知ったくらいだもの。」






















神田がこんなこと言い出すくらいだもの、よっぽど具合が悪そうなんだろうと思う。





















「治す方法は?」

「寝る。又は吐き続ける。」






















寝る意外にいろいろ挑戦したけども、駄目だった。

唯一の方法が寝ること。




















、どこか悪いんですか?」

「ち、違うの。の、乗り物酔い。」
























だから神田の隣なのにそっちに座ったんですねと嬉しそうに言われた。




















「寝ろ。」






















寝ろって言われても・・・肩借りていいのかな・・・。




















「肩、借りてもいい?」

「勝手にしろ。」






















とりあえず、あなたの肩だから聞いたんですけど・・・。

まあ、いいや。













お借りします。



































*

























「神田、そこ、換わってくださいよ。」

「めんどくせぇ。」

のこと、なんとも思ってないなら換わってくれてもいいじゃないですか。」

「何でだよ。」

「僕がのことを好きだからです!!」

「本人に言えよ。」

「玉砕が見えている博打はしませんよ。」










アレンのこんな面を私は知らない。


NEXT

反省。

お分かりでしょうが、神田夢です。(遅ッ!
乗り物酔いをするのは僕です。
僕の場合は食べてたり、音楽を聴いてたり、テンションが高かったり、寝てたりすると治ります。
吐いても治りません。(笑)
でも、弟が吐いてたら治るって言うんで・・・。(なんだそりゃ。
あ、横抱きって、お姫様抱っこですよ?
わかってますよね・・・・(ハハハ

瀬陰暗鬼