彼女は泣いていた。
神田を兄と呼び、泣いているように見えた。
参
「彼女、様子がとても変でしたね。神田、何かしたんですか?最低ですね。」
僕の言葉にみんな我にかえった。
「や、アレン。ユウは何もしてなかったさ。」
「じゃあ、どうしてさんは・・・」
泣いてたんですか?と問うことはできなかった。
別に彼女はここで涙を流したんじゃない。
ただ、僕には泣いているように見えたんだ。
「は、神田の事を兄さんって呼んだわ。」
リナリーの言ったことは僕らが一番疑問に思っていることだった。
「兄さん、と神田は・・・」
「兄妹じゃないよ。」
あっさり僕らの疑問は解決した。
「じゃあ・・・どうしては神田の事を・・・」
「うーん・・・ちゃんのお兄さんに関係するのかなあ・・・調べてみようか。」
お兄さんか・・・それより、彼女はどこに行ったのだろう。
ここに来たのは今日だ。
ここは無駄に広い。
迷子になっていないだろうか・・・。
「アレン、落ち着くさ。」
「え・・・。」
知らないうちにソワソワしていたみたい。
心配なんだよなあ・・・探しに・・・
「室長!!」
「あ、リーバー班長、見つかった?」
「とりあえず、今のところはこれだけで、書類と写真です。」
リーバーさん、お疲れ様です。
いつもコムイさんにこき使われて・・・。
「兄さん、それは?」
「ちゃんのお兄さんの調査書と報告書と写真だよ。
えっと・・・ちゃんのお兄さんはエクソシストでね、イノセンスは装備型の刀みたいな感じだったみたい。
もちろん、ちゃんと同じ日本人でね、ちゃんとは僕とリナリーくらいの年の差はあったみたい。
この調査書によると、長期任務中とかではなくて、妹がまだ小さく一人だからという理由で教団を留守にしていたらしい。
我侭で気分屋。機嫌が悪いときは近寄るな、殺されるって書いてあるよ。」
全員が無言になった。
「すごいね、その人。」
「僕が室長に鳴る前から自由にしていたみたいだから僕が知らないのも当然だね♪」
いや、エクソシスト全員くらい覚えておいてください、コムイさん。
「じゃあ、なんでユウのこと兄さんって言ったさ?」
「うーん・・・この写真を見て。」
コムイさんが持っている写真に写っている人は、神田に似ている人。
「ユウに似てるんかなー・・・これ。」
「そっくりさんだね。」
「こんなに似てるなんて・・・」
「がこの人を強く思ってるなら、神田を見て思い出すのもおかしくはないわね。」
「コムイさん、この人は今、どうしているんですか?」
妹を大切に思っているからこそ、教団から離れ、妹と共に生きることを望んだはずだ。
なら、何故妹は教団にいるのか?
新たな疑問が生まれた。
「死んだんだよ。」
またもやあっさり解決した。
「亡くなってる・・・?」
「リナリーは知ってるけど、
ファインダーの報告書によるとゴーレムから死亡連絡が着て、ファインダーが見つけたときには無数のAKUMAの残骸と妹・・・ちゃんだね。
ちゃんは黒の教団への入団を決めていたみたい。そして、イノセンスはAKUMAに奪われた後だったらしいね。
ここには何事もなかったかのように淡々と起きた事を話す妹が印象的だったって書いてあるよ。」
彼女が絶対に語らないだろう真実は浮き彫りになる。
彼女の過去。
「とりあえず、こんなところかな。ちゃんについてはわかったようでわからなかったね。さて、ちゃんを探そうか。」
そうだ。探さなくちゃいけない。
「僕はここから離れられないからね。リナリー、アレンくん、ラビ、神田くん、よろしくね。
特に、神田くん、探すのをサボっちゃ駄目だからね。」
僕は、彼女のことを知りたいと思う反面、戸惑っていた。
でも、一人で流す涙は悲しすぎるから・・・・。
さん、一人で泣かないでください。
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反省
アレン視点でした。
キャラ視点第一号はアレンでした。
兄貴の軽い設定は浮き彫りになりましたね。
いやあ・・・強烈な感じで。
ある意味、コムイと同じくらいのシスコン度合いを想像してください。
あ、この話を見ると、めっちゃアレン夢っぽいですが・・・すみません、違います。
はい、アレン、脱落ー。
でも、アレンはたくさん頑張って貰いますからね。必見☆
瀬陰暗鬼