34.開会式の










抜け出し、抜け出しっと。


開会式とか式典って昔から苦手。
だってさ、暇でしょ?
凍季也には文句言われたけど・・・気にしないもん。





「お一人だと危険ですよ。森の手の者も多少おりますので。」





急に声をかけられた。


どちら様?





様でいらっしゃいますね?磁生と申します。」





磁生さん・・・?
どっかで聞いたことある・・・。

あ!紅麗に聞いたんだ!!
信頼できる部下って。





「はじめまして。です。」

「何故お一人で?」

「あの、敬語とがいらないですよ。普通に話してください。」

「・・・では。」

「うん。」










*








「なんか、磁生さんって、お父さんって感じだな。」

「まあ、年齢的にもそうなるしな。」

「そういう意味じゃなくてね、あったかくて、頼りになる感じ。それに、包んでくれそう!」





上手く言葉で表せないけど、お父さんってこんな感じかなあって。

私はお父さんを知らないからなあ・・・。





「そうか。」

「うん。」

「なら、父だと思ってなんでも話せ。一人で悩むのはなしだからな?」

「ありがとう。でも、大丈夫だよ。今は何もないしね。・・・あ!一つだけ。」

「ん?」

「紅麗の、紅麗の傍にいてあげて。あの人を一人にしないで。大事な人を失うのを誰よりも恐れているから。」





―私は傍にいられないから・・・。





そんな思い。


記憶がない状態で紅麗の傍にいちゃいけない。
だって、紅麗、悲しい顔をするんだもん。
悲しみに包まれてる人にさらに悲しい思いをさせちゃいけないんだ。

笑って欲しい。

凍季也も冷たい目をするけれど、紅麗のはもっと冷たい。
だから、溶かして欲しいの。
氷を、溶かして欲しいのよ。





「もちろんだ。紅麗様は生命をかけて守らねばならないお方。」

「でも、命は落とさないでね。」

「もちろんだ。命がなければ守れないからな。」





音遠は、生命を捨ててでも、紅麗を守るといった。
けど、磁生さんは違ったんだね。

よかった・・・。





「あ、開会式終わったみたい。じゃあ、私は火影のところに戻ります!また、話しましょうね!!」

「気をつけろよ。」

「はいっ!」





磁生さんはきっと、紅麗の傍にいる。
ずっと、ずっと・・・傍にいる。





そんな気がしたんだ。










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後書。

磁生さん大好きだー!!!
いい人だよねー磁生。
麗がすきなんですよー。ぷー。
さて、次回!
次回は一回戦が始まりますよー。
空戦です。
何度も言いますが、戦闘シーンは苦手です。

瀬陰暗鬼