30.再会





ちょっとお洒落してお出かけです。
もちろん皆には内緒です。





「凍季也にばれたら怒られるだろうなあ・・・。」





紅麗の館から帰った後、凍季也に一人で外に出るなって言われてたんだけど・・・

今日は、一人じゃないし、いいよね!?


まあ・・・相手が相手だけど・・・
いいよね!!うん。





様、お迎えに上がりました。」

「雷覇さんですか?」

「はい。いきなりすみません。」

「いえ・・・。」





昨日、ケータイに雷覇さんから連絡があった。

で、今はお出かけなんです。





「では、参りましょう。」

「あ、はい。あの・・・雷覇さん、様ってやめてもらえませんか?」

「そうはいきません。」

「じゃあ、私も様で呼びます!」

「それもだめですねぇ・・・それに、さんっていうのもやめて欲しいですね・・・。」

「様じゃなければ我慢しますよ?」

「では、さんでよろしいでしょうか?」

「私は雷覇くんって呼んでいいですか?」

「仕方がないお方ですねぇ。」





雷覇くんもいい人だと思います。










*








着いた所は高そうなレストラン。(しかも、VIPルーム)





さんをお連れいたしました。」

「雷覇、ご苦労。下がれ。」

「はっ。」





カチャ・・・





さん、楽しんでくださいね。」

「あ、はいっ!ありがとうございます。」





部屋に入るとキラキラとした空間に紅麗がいた。


眩しいってか・・・似合ってる・・・。
すごく、似合ってる・・・。

カッコイイッ・・・。





。」





ドキーンッ・・・





ヤバイ・・・カッコイイッ。





「?」

「えっと・・・いきなりどうしたの?」

「・・・会いたかった。」





心臓、バクバク・・・。

このままじゃ死んじゃいますっ!





「電話、びっくりしたよ。」

「勝手に見てすまない。」

「別にいいよ。驚いたけど、嬉しかったし。」





あ、驚いてる。

紅麗って、わかりやすいなあ・・・。






「そうか・・・」

「雷覇くんが、ドレスを持ってきたときとか心臓バクバクだよ。家の隣ね、凍季也なの。」





あ、嫌そうな顔。





「似合ってる。」





ドッキーンッ!





何これッ・・・

今まで男の人に対する免疫がなかったからその反動ですか!?





「どうかしたか?」

「いえ、何でもありませんっ・・・」

「冷める前に食べようか。」

「うん。ってか、すごく高そうなお店だけど、いいの?」

「問題ない。」





どこがですか!?

ドレスだって、結構値がはるだろうし・・・。





「口に合わなかったか?」

「いや、すごくおいしいです。」

「よかった。」





柔らかい表情。


すごく、大切にされてる気がする。

なんで、このような人のことを私は思い出せないんだろう・・・。





「何か思い出したか?」

「お母様のことと、自分のことを少し。あと、はじめて紅麗と会ったときのことを思い出したよ。って、言っても生まれたばっかりだったけど。」

「そうか・・・。」





そんな、複雑な顔しないでよ。





「ね、紅麗はケータイを持ってないの?」

「使えないからな。」

「そっか。」





様が紅麗様を好きになってくださればいいと思いますけど?





好き・・・か・・・。

よくわからない感情の一つ。
今までそういうのはなしで生きてきたから・・・。

紅麗を好き・・・?
嫌いじゃない、でも、きっと、好きとは違うのかな?

恋愛感情はわからない。





。」

「は、はいっ!」

「ゆっくりでかまわない。私のことを思い出してほしい。」

「・・・うんっ。」





本当は、早く、早くと思っているはずなのに。





「紅麗、ありがとう。私、紅麗のこと、思い出す!絶対に思い出すから!!」





これが今私がこの人にできる精一杯だから。





「あ!ねっ!ここ、夜景も綺麗なんだねっ!!食事もおいしかったし。」





幸せな時間でしたよ。





「キラキラしてるっ・・・すごい!ねっ、今日は・・・っ!?」





後ろから抱きしめられた。





「ど、どうしたのっ!?」

「ゆっくりでいい。決してなくなるわけではない。だから、ゆっくりでいいから。」





不安なんだと小さな声で呟いた紅麗は震えていた。
後ろから抱きしめられているから顔を見ることはできないけれど、泣きそうな顔しているのかな・・・?





「たとえ、何を犠牲にしてでも、のことは渡しはしない。決して。」

「紅麗・・・。」





反転して、紅麗の顔を見た。

やっぱ、泣きそうな顔してる。





「紅麗、私は消えないよ。麗奈様とどんな別れをしたか、紅さんとどんな辛い思いをしたかはわからない。
 でも、私は消えないよ。傍に居るとは約束はできない。今は、皆と一緒にいたいから。私のことを友だと、仲間だといってくれる人たちと一緒にいたいの。
 でも、記憶が戻って、私がちゃんと決断したとき、そのときは、私の決断を受け入れてくれますか?」





今は抱きしめ返すことしかできないけど、でも傍にいたいなあって思ったのは、きっと、紅麗が泣きそうだから。





「守りたい、守りたい。」

「うん・・・、うん・・・。」





もし、あなたが仲間よりも大切だと思える日がきたらそのときは、ずっと傍に居てもいいかな?










*








「じゃあ、いつでも電話してね・・・?寝てたり、授業中とかだったら出ないけどさ・・・。」

「気をつけて。」

「大丈夫だよ。だって、雷覇くんが送ってくれるんでしょう?」

「また・・・会おう。」

「うん。今日は楽しかったです。ありがとう。」





紅麗が微笑んだ。





。」

「何?」





唇に触れる柔らかい感触。


こういうのは慣れてないんですよっ!
ってか・・・ファースト・・・キスですよ・・・・。






「おやすみ。」

「お、おやすみなさいっ////」





紅麗から逃げるように車に乗った。





「何かあったんですか?」

「ら・・・雷覇くん・・・紅麗は私を殺すつもりなんですかッ!?」

「そんなこと、地球が真っ二つになってもありえませんよ。(笑)」





でも、心臓がドキドキバクバク。





私はこのドキドキの正体をまだ知らない。










NEXT



後書。

結論、さっさとくっつけばいいのに!!!!
らーぶーらーぶー。
はらたつーっ!!!!!(ォィ
じれったいなあ。
ちなみに、この話は某漫画組のNEVER AGAINをもとにしました。
いや・・・いろいろ、違うだろ、ってとこはあると思いますが・・・
その曲を聴きながら雰囲気を頂いたんで。
いちおう、Song by NEVER AGAINってことで。
次回予告、次回は柳ちゃんと、主人公、ダブルお姫様でお送りいたします。

瀬陰暗鬼