ごめんね、薫ちゃん。
24.炎の天使
只今、こっそり部屋から脱走しました。
約束は守らなくちゃなんだけど・・・ゴメンね!!
「・・・姉ちゃん?」
「へっ・・・?」
見つかっちゃいました。
「部屋にいるって約束しなかったっけ?」
「えっと・・・私、柳に会いたくて・・・」
「どうやってでたの?」
「蝶で扉を破壊しました。」
「で、迷子?」
「う・・・うん・・・。」
方向音痴なんです。
「姉ちゃん。ごめんね。」
「どうかしたの?」
「本当はこうして外に出たかったんでしょ?」
「あとで、紅麗に文句言うから全然平気だよ。」
「うん・・・柳姉ちゃんね、ここをまっすぐ行ったとこにいるよ。姉ちゃん・・・助けてあげて・・・。俺、出来ないから・・・。」
薫ちゃんの様子が変だ。
「ねぇ、薫ちゃん。どうしたの?」
「わ・・・わかんなくなっちゃった・・・。紅麗が正しいと、思えなくなっちゃった・・・。」
「うーん・・・難しいなあ。でもね、私は正しいとか正しくないとかわかんないけど、でも、あの人、一人になっちゃうから。誰かが信じてあげないと一人になっちゃうから。だから・・・私は信じたいな。」
「姉ちゃん・・・。」
私を見る紅麗の目は温かかったよ。
懐かしい感じがしたんだ。
私は、誰かを疑うとかしたくない。
信じたいから。
「薫ちゃんは、薫ちゃんのやりたいことをしなさい。私は、柳のところに行きたい。だから、行くの。」
「うん・・・じゃあ、バイバイだね。俺、紅麗は嘘吐きだから傍にいられないんだ。」
「そう・・・薫ちゃん、元気でね。」
「うん!!まっすぐだかんね!!」
「うん。」
さて、柳は泣いていないかなあ。
ないてたら拳骨をプレゼントしなくちゃね。
あと、紅麗に見つかったときの言い訳を考えなくちゃ。
*
何か、気温が上昇してる気がする。
それに・・・科学者っぽい人たちが騒いでいる。
柳はこの先・・・
「蝶よ、我を柳の元へ導き給え。」
蝶に案内させて行った先で見た光景は想像以上だった。
必死に電流に耐えている柳と電流を流している科学者。
信じられない。
これが、人がすることなのですか?
酷過ぎる・・・。
「蝶よ、柳を救出せよ。」
最近、少しずつレベルアップを頑張ってるせいか、十分に戦える。
「柳!!」
「っ・・・ちゃあ・・・ん・・・。」
「泣かないの。」
流石に、拳骨は可哀想だからやめることにした。
「っ・・・何あれ・・・。」
「ちゃん?」
「綺麗・・・炎の天使だ・・・。」
「あの人の炎・・・。」
「紅麗の・・・本当、綺麗・・・。」
烈火、風ちゃん、土門、凍季也・・・みんないる。
「柳、危ないからあの椅子に座ってここで待ってなさい。」
「でも!!」
「窓の近くにいちゃ駄目だからね。」
「っ・・・うん。」
「よし。私はみんなのところへ行く。そして、紅麗を止めるから。」
「危ないよ!!」
「平気だよ。じゃあ、大人しく待ってて。」
止めなくちゃ・・・紅麗を・・・。
*
バガーン!!!!
うわ・・・すごい音、鳴っちゃった。
「!?」
「あ、烈火。・・・・!?何これ・・・。」
私の視界には倒れている凍季也、風ちゃん、土門。
「、無事でよかった!離れてろ!!あぶねーぞ。」
「紅麗!何で・・・なんで、こんなことするの!?」
この人達は、やっと出来た友達だ。
「・・・何故ここに・・・?」
「脱走しました。」
「部屋から出るなといったはずだが。」
「退屈だったんだもの。」
じゃなくて!
こんなどーでもいいことを言うためにわざわざ来たんじゃないの!!
「柳に酷いことしたの、謝って。」
「・・・」
「姫!?」
「烈火、うるさい。」
今、話がしたいのは紅麗だ。
「離れていて欲しい。」
「会話がなってないよ。」
目の前に炎の天使。
「え、何?」
「紹介しよう。紅だ。」
「紅さん?」
「!逃げろ!!」
「大丈夫、紅麗はに手を出さないわ。それより、今のうちに回復なさい。」
影法師・・・いたのね。
それより、間近で見ても紅さんは綺麗だ。
それに、何かしゃべってるように感じる。
「あの・・・はじめまして、です。」
笑った気がした。
「え、私のこと知っているの!?昔、紅麗に聞いたの?」
なんとなく何を伝えたいかがわかる。
紅さんって、優しそうな人だなあ。
「、紅の言っていることがわかるのか?」
あれ?
そんな、驚くようなこと?
「な、なんとなくだよ。紅さんの表情とかでなんとなく。」
紅麗の目が一瞬とても優しかった。
「離れていろ。烈火と決着をつけねばならない。」
「駄目だよ・・・駄目・・・。やめて・・・みんな、私の友達なの。初めて出来た友達なのよ・・・。」
「友か・・・」
「だからっ・・・」
過去に何があったか関係ない。
悲しいけど、記憶がないんだ。
だから・・・何もわからないけれど、一つだけはいえる。
もう、やめて。
NEXT
後書。
なががったー!!!!
紅麗がいると、どうしても長くなってしまうのか!!
次回予告。
次回は八竜登場。
瀬陰暗鬼