サルはサルだ。
ここに来て正解だった。
22.水と金と
「水鏡凍季也!!」
シーモンキーに呼ばれた。
何か、ぐちぐち言ってるようにも感じるが・・・ウザイ。
「礼などはじめから期待していない、気にするな。別におまえらを助けるために来たわけでもないしな。」
仮にそうだったとしても、礼は求めないが・・・。
「サル・・・ゴリラ・・・シーモンキー。動物愛護の精神だよ。」
後方が騒がしい。
動物に人間の言語は通じないからいっても無駄だろう。
・・・・!
殺気・・・?
カキィィン
「スゴイや!!完全に死角をついたのに!!こんな完全に見切られたのはじめてだ!!」
甘いな。
やはり子供だ。
閻水・・・。
「わわわっっ!!」
防いでるつもりだろうが甘い。
「・・・・・・わお。」
「去れ!殺すぞ。」
僕がここに来たのは柳さんと・・・のため。
無事だろうか・・・気になる。
「あんただね。柳姉ちゃんの言ってた『強くてカッコイイナイト様』って・・・兄ちゃんだね!?」
ん?
柳さんのナイトになった覚えはないが・・・多分・・・花菱だな。
しかし、強くてカッコイイとは思わん。
「そうだ!」
後方で花菱がひっくり返っている。
シーモンキーではなく、節足動物のほうが良かったか?
「ちょっと待て水鏡!!誰がナイトだっズーズーしいぞ!!」
「おまえに怒られるスジはない。」
礼はいらないが、貸しということにしておくつもりだ。
「ふがいないと思わないか花菱?」
「!」
「おまえは柳さんの忍になる事を誓い、守るべき立場になった。
しかし、みすみす彼女をさらわれ、近くにいたも守れず、今も二人を助けられずにいる。
それなのに石壁と力比べか?よもや約束を忘れたわけではないだろう?
柳さんに万が一のことがあった時、死をもって償うこと!!
それに今回はもだ。
殴るのは当然として、本来ならばさらわれた時点で殺してやろうと思ったくらいだ。」
と一緒に帰ればよかったと、ここに来るまでに少なくとも七回は後悔した。
「・・・・・・・・・・・・当然だ。口先だけじゃねぇ!絶対助けてみせる!!
それより、のことなんでそんなに・・・」
「ほっとけ。とりあえず・・・目は死んでないな安心した。なら早く行け。」
「おまえは?」
「三匹の子ザルの援護をしてやる。どうやらまだこりてないみたいだからな。」
わくわくしながら準備体操をしている。
戦うならば、サル達はうるさいのでいないほうがいい。
「サンキュ・・・水鏡。」
「誤解するなよ、柳さんのためだ。(は僕が直接助ける。)礼ならオレにここの事を教えてくれた影法師に言え。」
それに・・・・・柳さんが今一番会いたいのは、きっとおまえだろう・・・・・・
さて、ガキの相手か。
「一つ聞きたい。はどこだ?」
「姉ちゃん?えっと・・・部屋の中だよ。紅麗が特別に一室用意したんだ。」
「何のためにをさらった?」
「よくわかんない。でも、柳ちゃんとは違う理由だよ。」
「は無事か?」
「もちろん。紅麗が信用しているやつを護衛につけてるしね。そいつら確実に強いよ。
それに、姉ちゃんは紅麗にとってすごく大切な人なんだってさ。だから傷つけるわけないよ。」
大切・・・?
確か、には4つまでの記憶がないはず・・・
そのときにでも出会っているのか・・・?
「聞きたいことは聞いた。手加減はしない。」
「そうこなくっちゃっ♪」
*
カン・・・カン・・・キンッ・・・カキィ・・・
「ふぃーっやっぱ兄ちゃん強いねっ♪その武器なあに?水みたく見えるけど。」
「『閻水』という。水を刃にできる剣だ。しかも今の刃はプール分の水をかためてある。決して折れない。」
閻水を水だと気づく辺り、場慣れしているな。
「そっかい。じゃあエンリョなくこっちも本当の力を見せちゃお。五つの顔を持つ魔導具『鋼金暗器』!!」
「・・・・・・?何!!?」
五つの顔だと・・・?
「!?」
「ジャジャーン変身!!鋼金暗器弐之型『龍』!!鎖鎌!!!」
「武器が・・・変わった?」
戦いのスタイルが変わる。
戦いにくいな・・・。
「言っとくけど、変身させる奴に会ったの久しぶりだよkつ。それだけ兄ちゃんが実力者って事。自慢していいよ♪そんじゃいくよ!!」
ちっ・・・苦手なタイプだ。
サクッ
背中が刺された。
術者の思う通りに動かせるのか・・・・ますます苦手だ。
楽しそうに武器の説明か。いい気なもんだな。
「おまえも自慢していいぞ、小僧!僕にここまで血を流させたのは君で二人目だ。」
でも、僕が勝つ。
・・・・。
「すっげープロレスみたい!でもね・・・」
また変型か。
「参之型『極』!!大鋏!!」
っ・・・閻水・・・。
やはりただの子供じゃない!
力がないぶん、あの武器を手足のように冷静に使いこなしている!
さて・・・今の僕には剣がない・・・。
くるか!?
「なにしてんのっ!早く剣を拾って!!まっててあげるね!(きゃぽーん)」
・・・・・・・・・無邪気だ!
なめられているのか!?
しかも、カオルちゃんのワンポイントレッスンとか言って武器の説明を始める始末・・・
五つの顔か・・・
「・・・見せてもらおうか。」
小がらな分すばやいガキの方が優位。
剣技はほぼ互角・・・ただ、最初のケガのぶんがマイナスだな・・・
―やーいやーいバカみかがみーっだっらしねーのォオッペケペーv
くそ・・・っあいつならまずこう言うだろう・・・・なんでこんな時にあのサルが出てくる!
不愉快だ・・・
・・・・・・・・あいつならこんな時どうするんだろう?
僕と戦った時、ボロボロになってもあいつは決して負け犬の目をしなかったな・・・
負けるものか・・・この小僧にも、烈火!おまえにもな!!
「楽しかったよ兄ちゃん!!でもそろそろキメる!!四之型『三日月』!!武羽冥乱!!」
ブーメランか・・・
五つまで後一つ・・・
「ちぃ・・・っ!」
消えた・・・?
どこから狙ってくる・・・?
・・・・閻水!
僕は、勝つ。
*
バシャアアア
五之型『暗』魔弓か。
残念だったな。
「ビンゴだ。」
キキキンン
「わあああああ!!」
僕の勝ちだ。
「ぷぎゃ!」
「勝負あったな。」
やはりガキだ。
「水蒸気は己を隠すためにあらず。閻水の水の一部で作ったダミー人形と入れ替わるのを隠すためだ。
後は矢の来た方向で君の位置は割り出せる。君には剣を拾わせてもらったカリがあったな。
命だけは助ける。武器を置いて去れ!」
「う・・・ぅぅ・・・うわあぁ(ヒックヒック・・・フルフル)」
泣くのか!?
「うわぁーんっオカマー!男女ーっ!!バッカやろおおーっ!!!(あーいあーい)」
誰がオカマだ。
誰が男女だ。
馬鹿はあのサルたちだ!!!
まあ・・・この戦い方は・・・おまえに教わったんだ烈火!!
「僕に負ける程度では・・・烈火のサルに遠く及ばない!」
するするするす
「あっ!」
このガキ・・・
「オレ負けてないモーン!!へーんだっバイビーvまた今度やろーねーっ!!オレ、姉ちゃんとこ行くからー!!!!」
あなどれん・・・・・・武器を置いて去れと言ったはずなのに・・・。
しかも、の元にいくだと・・・?
まあ、いい。
絶対に助け出す。
紅麗か・・・
とどういう関係かは知らないが・・・
渡さない。
絶対に・・・
NEXT
後書。
みーちゃんはいつでも青春ですね!!!
終始主人公、主人公言ってますもんね。
はっははー。
さてさて、次回予告です。
次回は紅麗視点のお話です。
紅麗も主人公、主人公だからなあ・・・。
瀬陰暗鬼