17.治癒と金と姫と
トットコ、トットコ
どーもっ!!小金井薫でっす!!
今、柳姉ちゃんのとこに向かってまっす!!
ただ、紅麗に内緒だからコソコソしてるの。
やべっ!警備員だ!!
「危ねぇ危ねーっ!」
絶対見つかったら紅麗に怒られるもん!!
紅麗怖いもーん・・・
えっと・・・たしか暗証番号は・・・9・0・1。9・0・1。と。
ガシャン
お、鍵開いた!!さすがオイラだねっ♪
ばむっ
扉の向こうには小さな山が二つ・・・
「小さな山二つ・・・・・・」
「!!!」
見ちゃいけないものだった気がしました。
ごめんね、柳姉ちゃん。
「きゃああーっ!!!」
思いっきり柳姉ちゃんに二回ほど殴られました。
ひりひりする・・・
「えっちぃーっ!!!」
結構大泣きだ・・・。
ごめんよ・・・。
「ななな何よっ君、私を襲った子じゃない!今度は何をする気?烈火くんにだって見せた事ないのにっ」
烈火くんって誰?
「ごめんね・・・見ちゃうつもりはなかったんだ。これもってきたの。」
オイラが持ってきたのはおにぎり。
だってさ・・・
「おにぎり?」
「オナカへってるんじゃないかって・・・ゴメンね・・・」
本当に見るつもりなかったんだよーっ!!
「ねぇ君、なんて名前なの?」
「薫!小金井薫。」
柳姉ちゃんが笑ってる?
もう、怒ってないの?
「私は柳!大きな声出しちゃってごめんね、薫くん。ありがとう。」
にっこり笑った柳姉ちゃんはすごく可愛くて、ドキドキした。
嬉しかった。
「柳姉ちゃん食べて食べて!おかかとねシャケとねウメもあるの!!」
柳姉ちゃんが笑うとね、嬉しいんだ。
すごく、嬉しいんだ。
「でもねぇこれナイショだよ。紅麗にはヒミツでもってきたの!怒られちゃうからね。」
柳姉ちゃんの顔が曇った。
それに・・・震えてるの?
「?柳姉ちゃん・・・?」
やっぱり震えてる。
「お願い・・・教えて、薫くん・・・・・・あの人は私に何をさせるつもりなの?殺す・・・・・・つもりなのかなぁ・・・・・・・・・」
「そんなことないよ!!」
だって、紅麗は・・・紅麗は・・・
「紅麗は言ったよ!“殺すつもりはない。力をかしてもらうだけ”だって!紅麗は紳士なんだ!ウソつかないよっ!!」
「そう・・・」
不安がとけない顔をしてる。
でも・・・
「ごめんね・・・柳姉ちゃん。オレは自由にさせてあげられない。紅麗の命令は絶対なんだ・・・できるのはおにぎりくらい・・・ごめんよ。」
「でも、うれしかった、おにぎり!!薫くんって優しいんだね。」
そう言って柳姉ちゃんは頭を撫でてくれた。
ちょっと照れた。
ピーッピーッピーッピーッ
「!」
「何?」
「侵入者らしいや。呼び出しくらっちゃった。」
柳姉ちゃんが嬉しそうにした。
なんでだ?
「うれしそーだね?柳姉ちゃん。」
「うんっ。ナイト様が来てくれたの!」
ナイトさま・・・・・・柳姉ちゃんヘンな人・・・。
「そいつ強いの?」
「うん!!強くてカッコイイよ。」
「・・・ふ〜ん。」
ちょっと、そいつに興味があるなあ。
「薫くん?」
「また来るからね。柳姉ちゃん!今度はサンドウィッチもってくるね。」
バタ・・ン
柳姉ちゃんの言ってたナイト様。
―そいつ強いの?
―うん!!強くてカッコイイよ。
オレより・・・強いのかなぁ?
__________
どーもっ!!小金井薫でっす!!二回目でっす!!
実は、呼び出しをくらったから部屋に行ったんだけど、侵入者がまだ来てなくて。
でも、柳ちゃんのとこに行くのは面倒でさ。
だって、柳姉ちゃんがいるところ遠いんだもん。
どうしようかなあ・・・。
『あ!!それ、綺麗!!!』
『これ?』
『うん。何?』
『ヒミツ。』
『ずるーい!!』
女の子と・・・音遠の声?
そういえば、もう一人女の子がいたなあ。
美人なお姉ちゃん!!!
でも・・・音遠が居るしなあ・・・。
怒られそうだし・・・。
『あ、呼び出し・・・。』
『紅麗?』
『いや、同僚よ。緊急なんだけど・・・と居るし・・・』
『行きなよ。』
『私が居なくなったら侵入者のところに行っちゃうでしょ?』
『え、駄目?』
『駄目。』
『でも、ずーっと鳴ってるよ?』
『仕方ないわね・・・近くの暇そうなのを探してくるから。』
『早く来ないと逃げるかもね?』
『ふぅ・・・困ったわね。』
やべ!音遠が出てきた!!
「小金井じゃない。」
「あっ!はーい・・・」
見つかっちゃった。
「ちょうど良かったわ。中にあんたが連れてきた紅麗様の客人の女の子が居るから頼むわ。
紅麗様の命だったんだけど、あの馬鹿に呼ばれたから。」
「うん♪いいよーっ!オイラ、ちょー暇!!」
ラッキー♪
「丁重に扱いなさいよ。」
「わかってるって♪」
音遠は走り去っていった。
カチャ・・・
「誰?音遠?」
「ぶっぶー。はずれでーす。姉ちゃんだよね?俺、小金井薫でっす!!」
「あ!あのときの!!」
「うんっ♪」
「うーん・・・むかつくってのはあるけど、君は何もしてないもんね。それに、紅麗の頼みごとだったんでしょ?」
なんで、姉ちゃんも、柳ちゃんも怒らないんだろ・・・。
「ね、薫くん、侵入者って誰?」
「知らない。三人組だって聞いたよ。」
「三人・・・」
「柳ちゃんはナイト様って言ってたよ。」
「ナイト様?」
「うん。」
そう言ったら姉ちゃんがいきなり笑い始めてびっくりした。
「ど、どうしたの?」
「柳にとってあいつはナイト様なんだって思ったらおかしくなっちゃって。」
「強くてかっこいいって言ってたよ。」
「ふーん・・・柳にとってはそうなのかもね。私はかっこいいとは思わないけど。」
「え!?柳姉ちゃんの言ってること嘘!?」
「いや、私と柳の感じ方が違うだけ。」
「そっか・・・。わかんなくなっちゃうよ。」
「それに、三人じゃなくて四人になると思うよ。」
「え!?何で!?」
「なんとなくね。」
なんとなくと言いつつも、確信がある言い方だった。
「ね、今、柳はどうしてる?」
「うーん・・・多分、閉じ込められているかな。」
「こういう部屋?」
「ううん。姉ちゃんは特別だよ。紅麗の大切な人だからって。」
「紅麗・・・」
姉ちゃんがすごく辛そうな顔をしていた。
笑ってほしいな。
だって、笑った顔、すごく可愛いんだよ。
オイラはそっちのほうが好きだ。
「私・・・忘れちゃいけないものを忘れちゃったなあ・・・」
姉ちゃん・・・辛そうな顔しないでよ・・・。
「姉ちゃん、きっと思い出せるよ。」
「うん。ありがとう、薫くん。」
やっぱ、笑ってたほうがいいや。
「薫くん、怪我しないようにね。」
「大丈夫だよーっ!!俺、強いもんっ♪」
「そっか。ってか、さっきからピーッピーッってうるさいよ?」
「でも、姉ちゃん一人になっちゃうよ。」
「私は平気だよ。一人には慣れてるから。」
「でも・・・姉ちゃん逃げちゃわない?」
「音遠との会話、聞いてたね?」
「うん・・・」
「ごめんなさい」って言ったら「いいよ」って言ってくれた。
「じゃあ、薫くんがまた来てくれるって言うなら待ってようかな。」
「うん!!また来るっ!!!」
「じゃあ、待ってるよ。鍵、かけちゃうでしょ?」
「もちろん。」
「なら出られないじゃない。」
「蝶とかで壊しちゃうかなあって。」
「え、何で知ってるの?」
「木蓮の木を切ってたじゃん。」
そうだった・・・って言って落ち込んでた。
結構マヌケ?
「それに、紅麗から聞いてるの。水と治癒の力もあるって。蝶のことは聞いてなかったから驚いたんだよ。でも、綺麗だよね。」
「・・・あ、ありがと///」
照れてるのも可愛いなあ・・・。
でも、紅麗の大切な人ってことは多分“好き”何だと思う。
俺、柳ちゃん好きだし・・・紅麗のこと応援してあげよっと。
「じゃあ、姉ちゃん!約束だからね!!逃げちゃ駄目だかんね!!!!」
「気をつけてねーッ!!」
よし、柳ちゃんのナイト様をさーがそっ♪
NEXT
後書。
やっぱ、原作沿いじゃないところは楽しいなあ。
薫ちゃんは動かしやすくて、書きやすくて好きです。
前回の予告で、主人公はでないかも・・・って言ってたけど、普通にでてますね・・・。
予告不備だわ・・・。
これからはそういうことがないようにしますんで。
ってことで、次回予告。
次回は原作沿いです。
ガンコちゃんのところです。
瀬陰暗鬼