14.火影
目が覚めたとき、私は知らない部屋にいた。
「ここ・・・・どこ・・・・?」
「目覚めましたか。気分はいかがですか?」
私の目の前には綺麗な顔に火傷がある男の人がいた。
「あなたは・・・どちら様ですか?ここは・・・?」
柳もここにいるのだろうか。
博子さんはどうなったのか。
たくさん知りたいことがありすぎる。
「ここは私の館です。私は紅麗。」
「く・・・れ・・・い・・・・?」
一度だけ夢に出てきた人。
そして、影法師が言っていた人。
「あの・・・っ!?」
急に抱きしめられた。
「生きててよかった・・・・会いたかった・・・・。」
この人は悪い人ではない。
そう、思った。
とりあえず、私、こういうの慣れてないんですよ!!
「あの・・・紅麗さん。私、昔の記憶がないんです・・・。だから、昔の知り合いなら、その・・・」
「記憶がない・・・?」
「私もよくわからないんです。四歳までの記憶ではっきりしているのは名前だけで、後はよくわからなくて・・・・。」
「そうか・・・。」
辛そうな顔。
さっきとは大違いだ。
「白蛇と黒蝶のことは知っていますか?」
「そのことは知っているのか?」
「2人から教えてもらったの。いつか全てを思い出せる日が来るって言ってました。だから私、記憶がなくても平気なんです。」
「・・・私の知っている範囲でよければ話そう。」
「本当ですか!?ありがとうございます。えっと・・・紅麗さん。」
「紅麗で構わない。」
「紅麗・・・。」
少し嬉しそうな顔だ。
「ねぇ、火影のこと教えて。」
そのあと、紅麗はいろいろ教えてくれた。
私の中途半端な夢のことを全部聞かせてくれた。
「ってことは本来なら1つ違いなはずなの!?」
「そうだ。」
「なら、どうして・・・?」
『私が答えよう。』
―黒蝶!?
『紅麗も知りたいだろう。私の言葉を復唱しなさい。』
―わかった。
「黒蝶が答えてくれるって。でも、黒蝶を外に出せるほど力がないから、黒蝶の言葉を復唱するね。」
一瞬空気が変わった。
『久しぶりだな、紅麗。桜火ではなく、お前はやはり麗奈似だ。しかし、その顔の火傷は勿体無いな。そっかくの綺麗な顔が台無しだ。
まず、お前の疑問に答えよう。は私がの命によりこの時代に流した。お前を流したのは陽炎なのだから同じ時とは限らないだろう。こうして再び会えたことが奇跡だ。
は三年後の時代に流れたのじゃ。それと、の記憶はが封じた。この時代に来る前までの記憶は一切ない。
でもな、今、思い出しつつある。の封が弱くなっているのだろう。いずれ、全て戻るときがくる。だから、あまり記憶に関することは伝えるな。
まだ、は幼い。一度に思い出そうとすれば、精神が壊れてしまう恐れがある。時を待て。
それと、麗奈も桜火もお前のことをしかと愛しておったぞ。私は桜火は嫌いだが、麗奈は好きだからな。お前も嫌いではない。
何故、そのように荒んだ心をしているのだ?紅麗、何があった?そんなお前を見たら麗奈は悲しむぞ。』
「そうか・・・。」
『話しつかれた。また話そう。それと、もうすぐ面白いことになる。負けるなよ、紅麗。』
黒蝶は中途半端に疑問を残していった。
パーン・・・
外で花火が上がった。
「綺麗・・・。」
「・・・・進入者か。」
「あ!そうだ。柳と立迫先生と博子さんはどうなったの!?」
今の花火は烈火だと思う。
だから、柳はここにいる確率が高い。
「木蓮が無礼をした女性なら一命を取り留めたそうです。」
「そう、良かった・・・。」
「左古下柳さんと立迫氏はこの屋敷にいます。
立迫氏は火影について知りすぎている要注意人物として。
左古下柳さんは・・・治癒の力を知っていますね?あなたにもあるはずです。森光蘭のことは御存知ですか?」
「財閥のお偉いさんでしょ?それくらいしか知らない。それと、紅麗。その話しかた嫌。」
「気をつける。森光蘭は不死を望んでいる。治癒の力が不死に関係していると考えた。左古下柳はモルモットだ。」
モルモット・・・それは、実験用動物。
「何故・・・?柳がモルモットならば、私もモルモットなはずよ!?」
「の治癒の力はあいつにはばれていない。まで奪われたら私はどうしたらいい?」
辛そうな顔・・・。
今までどんな人生を歩んできてしまったんだろう・・・。
それに、森光蘭・・・不死・・・
人間は死ぬものよ・・・。
だからこそ、愛し、愛される。
不死なんて望むだけ無駄じゃない。
「でも、柳は私の友達だわ。とっても大切な子なの・・・。」
「・・・その願いは聞けない。私は進入者の相手に行く。この部屋から出ないように。」
「何で・・・?進入者が知り合いかもしれないのに。」
「ならば、なおさらだ。」
カチャ・・・
「失礼いたします。」
「音遠、ここは頼んだ。」
「かしこまいりました。」
美人なお姉さんだ・・・。
お姉さんと入れ違うように紅麗は去っていった。
「はじめまして。音遠と申します。」
「あ、・・・です。」
「紅麗様から聞いているわ。あなた様を見つけたときの紅麗様はとてもうれしそうだったわ。久しぶりに見たわ・・・あんな幸せそうな紅麗様。」
「私に記憶があればもっと幸せそうにするのかなあ・・・。」
「別に記憶とかが一番の問題ってわけではないと思います。様が紅麗様を好きになればきっといいと思いますけど?」
「へっ!?」
このお姉さんはいきなりなんてことを!?
「わ、私・・・わかんないですっ・・・・好きとか、そういうの・・・」
「強制はできませんから。」
「音遠さん・・・。」
「敬称はつけないでください。」
「じゃあ、音遠さんも、様ってやつ、やめてくださいよ!!」
「無理です。」
「私、敬語も嫌です!」
「無理です。」
「じゃあ、音遠お姉さまって呼びます。」
「それは・・・」
「じゃあ、って呼んでください。あと敬語もやめましょ♪」
「わかったわ。仕方ないわね。」
「うんっ♪」
音遠はすごくいい人で、紅麗思い。
今、こうやって話し相手になってくれているのも、私が寂しくないようにでしょ?
でも、やっぱり気になる。
柳のことと立迫先生のこと。
そして・・・
ねぇ、紅麗。
私とあなたの関係って何?
もうひとつ・・・
進入者って誰なの?
もし、みんななら・・・
みんな、無事でいて・・・。
NEXT
後書。
紅麗大暴走☆
いいね!紅麗夢っぽい(笑)
書いてて楽しかったです。
でも、これから当分主人公ちゃん出てきません。(涙)
原作に沿って、がんがん行きます。
次回予告は、影法師視点のお話です。
お楽しみに。
瀬陰暗鬼