10.炎と水と姫と 下
只今、私は遊園地にいます。
ただね・・・一人って結構寂しいんだよ。
それに、見失ってしまいました。
「!?」
「烈火!?」
「何でいんの!?」
「2人が心配で見張ってたんだけど、見失っちゃった。」
「そっか・・・俺も締まってるとこ以外は全部見たんだよ。」
見失わないように蝶をつけておけばよかった・・・。
私、なんか抜けてる・・・。
「あ、影法師・・・。」
「へっ!?」
「鏡の迷宮に行ってごらん・・・・・・・・・」
「だってさ。行こう!烈火!!」
「お、おう!!」
影法師・・・やぱりいい人じゃん。
*
「迷宮ってことはここは迷路だよね?なら、入ったら迷うよ・・・。」
「問題ねぇ!!」
烈火が炎を出した。
「何するの!?」
「、破片から身を守れよ。」
「待ちなさいよ。これから戦いになるのに傷つくってどうするの!?」
「えっと・・・駄目?」
「当然でしょ。凍季也は強いわ。ボロボロになった状態で、勝てると思わないで。」
ごめんね、凍季也。
でもね、柳はきっと烈火といることを望むと思うの。
「我が蝶よ、鏡を静かに砕き、柳と凍季也の元へ導け。」
いつもよりも大量の蝶。
なれない体でこれはきついけど・・・私以外、今出来る人はいないから。
「すげ・・・」
「早く進んで。蝶についていけばいいよ。」
「お、おう!!」
やっぱり、ちょっときついなあ・・・。
「、大丈夫か!?」
「結構きついかも・・・でも大丈夫だから。」
「っ・・・姫!!」
呼んで返事が返ってくるわけないじゃない。
「ここだよ烈火くん!!」
返事が返ってきた!?
「、ありがとな。蝶、しまえ。」
「う・・・うん。」
ギャパァァン
豪快にやりやがった!?
凍季也も柳も驚いてるよ・・・。
「花菱烈火只今見参!!」
「烈火くんんんっ!!何てトコから・・・・っ」
そんなに鏡の破片が飛び散らないでよかった・・・。
「姫!!今まで・・・ごめんな!!」
「わぁい!烈火くんがしゃべってくれるよぉっ。」
「・・・・・・・・・」
「・・・!あ・・・」
柳の髪・・・凍季也だよね・・・?
流石にやりすぎだよ・・・限度を超えてる。
「てめェか・・・?水鏡!!姫の・・・・・・女の子の髪を切ったのは・・・!!!天誅を下す!!!」
ゴッ
大きい・・・。
何であんな炎を・・・?
『火薬だ。』
―火薬?
『頭が悪いと思っておったが少しは忍のセンスがありそうだ。』
―意味がわからないわ。説明してよ、白蛇。
『そのうちわかる。』
白蛇のけち・・・。
「えぇ!?うそっ。そこまでしなくても・・・・・・」
「てめぇ、水鏡っ許さねぇぞ!!姫の長くてキレイな髪、切りやがって!!!ぶっ・・・殺す!!!!」
三本の炎。
影法師と戦ったときの炎とも風ちゃんと戦ったときの炎とも違う。
烈火は急成長してる。
でも、それを消す凍季也も相当の実力だ。
でも、一本消しきれず残ってる!?
鏡が割れる!!
「柳!」
「きゃ・・・・・・っ。」
「!自分の身を守れ!!」
「烈火・・・・。」
水で柳の前に壁を作る。
『、体がもたない、やめておけ。』
―うん・・・でもね・・・。
「水柱!!」
二本の水の柱。
一本は私、もう一本は柳の前で。
「・・・・・・っ。・・・・・・。」
「大丈夫?柳。」
「ちゃんこそ、辛そうだよ!!!」
「大丈夫だよ・・・・。」
「!」
「危ねー危ねーっ。ちょいキバりすぎた!!」
「烈火・・・。」
「痛くない?痛くない?烈火くん!!」
「なんのなんの南野陽子っ痛くねぇー!!」
嘘付け・・・。
脳天に刺さってるんだもの、痛くないはずがない。
「お?」
ぶしゅっ
抜くな、馬鹿。
刺さったままなら出血多量は防げたのに・・・。
それよりも私の体力の方がやばいか・・・。
烈火と柳の会話がこんなに近いのに聞こえない。でも、柳は嬉しそうだ。よかった・・・。
「!!」
「ちゃん!?」
「花菱、に何をした!?」
「何もしてねぇよ!!」
「や・・・なぎ・・・力の使いすぎで、疲れただけなの・・・・少し・・・少しだけ寝かせて・・・。」
私は、目を閉じた。
「烈火君、水鏡先輩、ちゃんは力の使いすぎで疲れただけだそうです。」
「柳さん、のことお願いします。」
「あ、はい。」
「とりあえずこっから離れてケジメつけようか大将!姫やにケガさせたくねーからな。」
「いいだろう。」
「あっ!!烈火くん!!水鏡先輩!!」
__________
また夢を見た。
この夢は何度か見ている。
私と同じ、と呼ばれた少女がいる。
「麗奈様!これ、母様からです。食物は食べなくてはなりませぬって言ってました。」
麗奈様?
誰・・・?
「そうだ・・・、桜火殿が会いたがってたぞ。」
桜火殿?
誰・・・?
「麗奈、具合はどうじゃ?」
「母様!!」
お・・・・おかあさん・・・・?
____________
「ん・・・・」
「ちゃん!!」
「柳・・・。」
「大丈夫?」
「うん。大分回復したわ。私も強くならなくちゃだね。」
「音がやんだわ。」
「本当だ!!」
「影法師も来ていたのね・・・。」
「えぇ。」
「柳は危ないからまだここにいなさい。大丈夫そうだったら蝶を一匹遣わすから。」
「う、うん。」
凍季也も烈火も大怪我していないといいな・・・。
*
「覚えとけっ。髪は女の命だバカヤロウ!!天誅!!!」
私がそこについたとき閻水の水が烈火の炎によって蒸発していた。
もう1つの答えがコレだ。
「!」
「風ちゃんと土門!?」
「柳は?」
「危ないから遠くにいるよ。もう大丈夫そうだから呼ぶね。」
蝶を一匹柳の元へ遣わす。
本当、有能だ。
でも、烈火と凍季也の戦いはまだ終わってないらしく、烈火が手裏剣を出した。
「いっくぞコラァァ」
ザクッ・・・・・・パラッ・・・
「あー!!」
凍季也の綺麗な髪が切られた!!
「姫の髪の仇それで許してやらぁ!!今度何かしやがったら丸ボウズにすんぞ!!」
「情けをかけてるつもりか?言っておく!そんな甘さでは僕の心は変わらない。」
「烈火の馬鹿!!凍季也の綺麗な髪・・・。」
「!?」
「あぶねぇぞー!!」
「ま、まあまあ・・・それより、オレが姫といちゃいけねーって話か?それ足りねえ頭で考えてたけど。いろいろあって・・・やっと決まった!やっぱオレは姫から離れない!!」
烈火の決意。
結論を出すの、ちょっと遅かったよ。
凍季也もそろそろ認めてあげようよ。
「腹斬って自害する!!」
え・・・?
どういう話のながれからそうなったの?
でも、凍季也は笑ってるし・・・決着ついたみたい?
「凍季也、お疲れ様。」
「・・・・。」
「もー、こんなに怪我して。」
「体は大丈夫なのか?」
「うん、眠ったからね。はい、とりあえず治癒完了。早く帰ろう。」
「ありがとう。」
「今度、ちゃんと経緯を話してよ?」
「今日、夕飯食べながらにしないか?」
「いいよ。なんか作っていくよ。何がいい?」
「なんでも・・・二品持参な。」
「うん。」
私は気づかなかった。
カメラが作動していて、私達の姿がとられていることを・・・。
NEXT
後書。
先に言っておきます。
紅麗への重要なとこは原作を知ってる方はお分かりでしょうが、最後の一文です。(ぇ
ここだけです。
でも、本当重要なんです。
死ぬほど重要です。
これがないと紅麗と主人公出会えないんで。(笑)
次回予告
まだ紅麗じゃないです。
えっと・・・凍季也の家です。
二品持って・・・(笑)
瀬陰暗鬼