目の前に現れたのは蒼の瞳、銀の髪、整った顔立ち。

奇妙なくらい美しい少女だった。











01.










「ほら、席に着け!!お前ら遊びすぎだ!!」


学校

教室

クラスメイト

くだらない日常

どうして学校に行かなくちゃいけないのか、わからない。





「今日は転入生を紹介する。えっと、名前は・・・」





転入生を廊下に置きっぱなしで担任が名前をチョークで書く。






















黒板に書かれた名前

聞いたことのない苗字



「せんせーい。んで、その転校生は?」

「お、忘れてた!!入って入って。」



ガラ・・・






蒼みが買った瞳

銀色で日に照らされて輝く長い髪

誰が見ても美しいというくらい美しく、整った顔立ち





さんだ、自宅の引越しの関係で転校することになったそうだ。成績は優秀。じゃあ、自己紹介して。」


一瞬、彼女の顔が変わった。

嫌そうな顔が見えた。


「はじめまして。という珍しい苗字や私の生まれながらの容姿に驚いている方がいらっしゃると思いますが宜しくお願いします。」






澄んだ声

正直、こういう人は御伽話の中でしか見られないと思っていた。





「んじゃあ、の席は水鏡の隣な。水鏡も立派な生徒だからわからないことがあったら水鏡に聞くといい。」

「はい。」





どこか嫌そうな顔。

そして、彼女は笑わない。





「あの、水鏡さん。なるべく迷惑がかからないようにしますが、何か不愉快なことがあったら行ってください。」

「あぁ、そちらこそ、何かあったらどうぞ。」

「いえ、何も特にないと思いますので、御気使いなく。」






そう言い放った彼女はとても冷たい目だった。

周りから見たら僕も同じ目だ。

壁を作ってる。誰も踏み込まないような壁を。僕と同じだ。





―ね、あの子さ・・・綺麗だけど怖くない?

     ―地毛であれってどこの国のやつだよ!って感じ。

―化け物みたい。

     ―キモイキモイ。

―美人だけど好きになれないよな。





たくさん悪口が聞こえる。

僕に聞こえるんだから彼女にも聞こえているのだろう。

それでも顔色一つ変えない。











感情も瞳のように凍っているのか・・・?










__________











昼食を買いに教室を出た。

教室は五月蠅くて適わない。

もいなくなっていた。





少し、彼女が気になるんだ。






少し歩いていたらすごく不審な動きをしているがいた。



「何をしているんだ?」

「み・・・水鏡くん・・・。」



初めて人間らしい表情を見た気がした。

教室とは別人にも見えた。



「周りから見ていて怪しい動きをしていたから声をかけただけだが。」

「怪しかったですか?」

「あぁ。」



うわー・・・どうしよう・・・と百面相している彼女はやはり教室とは別人だ。



「何をしていたんだ?」

「え・・・でも、教室で私、偉そうな事言ったから頼るわけには・・・。」

「構わないけど?」

「・・・屋上に、行きたかったの・・・。」



遠慮がちに用件を言う彼女の姿から照れも見えた。

迷っていたんだな。



「こっちだ。」

「え?」

「屋上に行きたいんだろう?」

「ありがとう。」



はにかんで微笑む彼女は綺麗だった。










―こんなに彼女が、が気になるのは何故だろう?










__________











「本当、ありがとう。教室に居たくなかったから。」



寂しそうな顔をした。

これが素だったのか。




「何故、自分を隠している?」




驚いた顔が見れた。



「わ、私、今まで容姿とあることのせいで化け物って言われてたの。」



さっきも言われてたでしょ?と苦笑いをした。



「だから、今度は誰も友達とか仲間とか思わなければ辛くないかなあって思ったのよ。
 でも、君に助けられちゃったね。私のこと、君も化け物って言う?」

「いや、思わないね。」



またさびしそうな顔をした。



「本当にそう思う?」





ぴちゃん・・・





水の音がした。

彼女の手から水が落ちていた。

驚いた。





「生まれつきなの。水を生み出せるのよ。これでも化けものって思わない?」

「あぁ。は人間だろ?僕等とさほどかわらない。そんなことで自分の意見は変えないが?」



彼女は涙を流した。



「・・・ありがと・・・初めて・・・初めてなのよ。このことを知ってもそういってくれたのはあなたが初めて・・・。
 もっと早く出会いたかったわ・・・。」






これ愛しいと思う事なら、悪くないと思った。





「友達・・・に、なってくれますか?」

「僕も、みたいな人なら傍にいても平気みたいだ。」

「ありがとう。」



微笑んだ彼女は本当に綺麗だった。
 









_________










「ね、水鏡君。名前で呼んでもいい?」

「構わないけど、君付けは嫌だ。」

「じゃあ、凍季也って呼ぶね。私のことも名前で呼んで。」

「もともとそうするつもりだった。それより珍しい苗字だな。」

「うん。私ね、4歳までの記憶が全くないの。で、一年前に他界した母は育ての親で、ひろって育ててくれたのよ。
 名前は覚えてたから、珍しい苗字だし、残そうって残してくれたの。あと、さっき見せた水の力のほかに治癒の力もあるのよ。
 怪我を治すことが出来るの。転校してきたのはね、この二つをうっかり見られちゃって。今まで以上に化け物扱い。酷いでしょ?」



明るい口調で話すが、あまり明るい話ではない。



「ね、私のことは話したよ。凍季也もいろいろあったでしょう?話して欲しいな。」

「・・・僕は・・・」



何故か彼女に全て話してしまった。

また、彼女は涙を流した。



「辛かったでしょう?泣きたかったでしょう?がんばってるんだね。」



辛いのはお互い同じだと思う。

しかし、そんな彼女の素直さに心が溶かされていくような感覚に陥る。





「これが閻水だ。」

「お姉さんはコレを通して凍季也を見てるんだね。はじめまして、です。」

「閻水は何も答えないぞ?」

「わ、わかってます!!」

「教室にでも戻るか。どうせ隣の席だからな。」

「うん。ほかの人はピーマンだとおもうよ。」

「何だそれ。」



やはり僕はが好きだ。










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後書

はい。
みーちゃん編です。
みーちゃん出会い編です。
いやあ、みーちゃん暴走。(笑
一目惚れだね☆
いいねぇ。青春。飛んでけ青春。
さて、次回予告です。
次回は主人公ちゃんの心の中です。
みーちゃんと出会っての心境を短くまとめたいと思います。
本当短いですよ!!

瀬陰暗鬼