卒旅 二日目 05.小田切竜
の様子がおかしい。
隼人から聞いたけど・・・時と場合を考えろ。
日向はオロオロしてるし、タケは心配してるし、ツッチーはヒヤヒヤしてるし。
せめて、帰路くらい無事に終わりたかったのに。
「竜・・・。」
不安そうなの声。
「何かあったの?みんなソワソワしてる。」
原因は隼人となんだけど。
「、隼人となんかあった?」
「隼人に聞いたの?」
肯定すると小さくそっか・・・と言ってまた黙り込んだ。
「私、どうしたらいいかなあ・・・。」
どうしたらか・・・
俺は、どうしたらいい?
自分の気持ちをこのまま言わないでおくべきか、言うべきか。
隼人と違って、悩んで、悩んで、やっと行動してきた。
だから、今も悩んでいる。
が隼人を好きなら、伝える必要はない。
もし、違うなら、伝えるべきなのかもしれない。
「竜、さっきから変。頭の中で葛藤してるみたい。」
鈍いのか、鋭いのかわからない。
でも、間違ってはいないな。
「港着いたらどうする?」
「タクシーかな。」
「車呼んだから、乗ってけよ。」
「うん・・・ありがとう。」
*
「ねぇ、竜だったら二人ドキドキの対象がいて、その二人の些細なことに毎回ドキドキし始めてる自分がいたらどうする?」
わかりにくい例え。
二人っていうのがつっかかる。
「私は贅沢なのかもしれない。今のままでいるって出来ないのかなあってずっと思ってる。」
俺も、隼人も決着をつけたいと思ってる。
隼人の我慢の限界。そして、破裂した思い。
もう、後には引けない。
俺はどうする?
俺だって、もう限界が近いのかもしれない。
「。」
「何?」
「が好き。」
表情から動揺が伝わる。
一日に二人はきつかったかもしれない。
「隼人が、なんて言ったかなんてわかんねぇけど、ずっと、一緒にいたいし、他のやつといるとこを見るとむかつくし、嫌。」
これは本心。
本当に胸のうちにずっとあった思い。
「返事隼人と一緒でいいから。聞くの怖ぇし。」
「あ・・・・うん・・・。」
俺の言った言葉を必死に理解しようとして・・・
「が、どんな答えを出しても、俺らが仲間ってことには変わりはねぇから。」
小さくうなずくを家に送って、隼人にメールを入れた。
―に告白をした。
ただこれだけのメールを見てあいつはどう思っただろうか。
俺は・・・これからどうしたらいいのか。
まだ、悩んでる自分がいる。
人も惜し
人も恨めし
あぢきなく
世を思ふゆゑに
もの思ふ身は
―後鳥羽院より
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あとがき。
竜ちゃんも告白しました。
いやあ・・・やっぱ僕にはどっちかなんて選べません!!!
さてさて、えっとですね、最後の短歌は人がいとおしくも恨めしくもあり思うにまかせないこの世への愁いを歌ってます。
簡単な意味は人がいとおしくも、また人が恨めしくも思われる。
面白くないものとこの世を思うところから、あれこれともの思いをするこの私には。って感じです。
隼人のヤツもそうですが、百人一首にあります。(ぁ
もう少しエンディングまで引っ張らせてください。
瀬陰暗鬼