「あれ?さん?」
「あ、拓君。久しぶりだね。」
隼人と拓と矢吹家
お醤油切らしてて買いにきたら拓君と会いました。
矢吹家の買い物担当は拓くんなのね。
でも、朝すっごく早いよ?
開店直後だよ。
「どうしたの?こんな朝早くに。」
「さんこそ。」
「私はお醤油を切らしてて。調味料はないと困るから買いに来たのよ。」
「今日は、朝市に。安売りは大事になんです。男三人で大食らいが二人いるから。」
「そうだね・・・三人分も、作るの大変でしょ?あ、よかったらお昼作ろうか?私、暇なんだ。」
「いいんですか!?」
拓君みたいな弟もいいなあ・・・なんて。
「いいよ。一人で食べるよか、全然。じゃあ、食材費は割り勘にしよっか。」
「悪いですよ。それは。」
「大丈夫だよ。ね?あ、迷惑だった?」
「いえ、迷惑じゃないです。すごく助かります!!(切実)」
うん。可愛いな。
「なに食べたい?」
「うーん・・・お昼ですからね・・・。」
「あ、レタス安い。」
「キャベツも安いですね。流石朝市。」
キャベツよりレタスの方が好きだなあ。
あ、レタスでサラダでも作って腹を膨らませよう。
サラダなら・・・ミートソースとかでいいかな。
「拓君、レタス安いから、サラダにしない?それにあわせるから、主食はミートソース。」
「はい!あ、レタスで兄貴と親父の腹を膨らませましょ。」
わー。同じこと考えてる。(笑)
「あ、卵も安い。」
「プリンでも作る?」
あ、拓君の目が輝いてる。
「作れるんですか?」
「うん。じゃあ、卵も買おうか♪」
「作り方、教えてください。」
「いいよー。」
プリン、好きなのかなあ・・・。
やっぱ、可愛いな。
「ミートソース用のひき肉に、たまねぎ。」
「あ、トマトも安いですよ。」
「よかったね。」
拓君って見れば見るほど、隼人に似てないな。
「さん、会計に行きましょう。」
「うん。」
__________
「荷物、半分持つよ?ってか、お醤油まで持ってもらっちゃってるし。」
「大丈夫です。これでも、男ですよ?」
「うん・・・ありがとう。」
「いえ。」
可愛いけど、よく見たら身長高いし、男の子なんだよなあ。
余計なこと考えてるうちに矢吹家に到着。
「どうぞ。」
「ありがとう、お邪魔します。」
この前よりも綺麗になってる・・・。
「親父、ぐうたらしてないで。さんがわざわざご飯作ってくれるって来てるんだから。」
「さん?」
「あ、黒銀でお会いしてますよね。私、男装して、黒銀に通ってるんです。」
「あ!教室まで案内してくれた人か。」
「はい。」
「なーんだ。親父会ってたんだ。とりあえず、ぐうたらしてないで。あと、兄貴起こして。」
隼人、まだ寝てるんだ。
らしいけど・・・少しは家事しなさいよ。
「拓君、先にプリン作って、お昼の時食べよう。」
「はい!!」
やっぱかわいー♪
甘さ控えめの方がいいのかなあ・・・。
「拓君、甘さは控えめの方がいい?」
「はい!」
「隼人は甘いのが好きだよね。」
「兄貴なんかほおっておけばいいんですよ。」
「あはは。両方作ろうか。簡単だし。」
「はい。」
______
プリンが蒸しあがって、すごくいいにおい。
「後は冷蔵庫で冷やすだけだよ。」
「おいしそう・・・。」
「レシピ覚えた?」
「もちろんです!!」
出来がやっぱ違うのよね、隼人とは。
あ、隼人。
「たーくー。茶。」
「自分で入れてよ。俺、今忙しい。」
「ちゃー・・・・」
どっちが兄かわかんないじゃない。
「ハイ、隼人。お茶。」
「おーさんきゅー・・・・って、!?」
「えっと、おはよ。」
めちゃくちゃ驚いてますね。
あ、おじさん。
ゲシッ!!
蹴られちゃった・・・。
「・・・・何すんだ糞爺!!」
「ちゃんはなあ、わざわざ昼飯をつくりに来てくれたんだぞ。」
「まじで!?」
「うん。たまたまスーパーであったんだよ。さっきまでプリンを作ってたんだよ。食後に食べようね。」
「うんvじゃなくてー!!なんで一言電話してくんなかったの?」
「なんで、隼人に電話しなくちゃいけないのよ。」
「むー・・・」
拗ねてる・・・はーちゃんも可愛いなあ。
「今度からちゃんと連絡入れるね?」
「うん。」
あ、ミートソースって言ってないなあ。
まあ、いいか。
「ん・・・?あー!!」
「兄貴五月蠅い。」
「エプロン・・・(涙)」
「持ってるわけないでしょ。」
いきなり言われてもねぇ・・・って、部屋の隅で拗ね始めたし。
のの字を書いてても・・・可愛いとしか思えません。
「拓君、ゆっくり休んで。簡単だから一人で平気だよ。」
「お願いします。」
さて、がんばるか。
美味しいって言われると嬉しいからね。
__________
「うまそー。」
我ながら上手くいきました。上出来。
「兄貴と親父はサラダをたくさん食べてね。」
「うま。」
隼人って反応素直だよね。
ってか食べるの早いなあ。
「ちゃんが嫁に来てくれたらいいのになあ・・・。」
「あ、俺もそれ思った。」
「あの、洗物終わったよ?」
「さん、本当ありがとう。」
「一人の時より、楽しかったし。大勢っていいね。」
「、ちょっと来て。」
「な、何?」
隼人に引っ張られ、隼人の部屋に。
「何?」
「この前、竜と二人っきりでパーティーだったんだって?」
「え、誰から聞いたの!?」
「。」
「ああ・・・」
納得。
あのこは何で、余計なことを・・・。
「隼人?」
「俺だって、のこと好きなのに、竜ばっかズルイ。」
あれは偶然だもん。
「あの、さん、俺の告白無視ですか?」
「え、告白なの?」
「モチ。」
「えっと・・・」
「ごめんごめん。冗談ってわけじゃないけど、返事強制しねぇし。あ、でもいつか返事頂戴ね。」
「うん。」
隼人も、優しいんだよね。
「あ、忘れるとこだった。はい、ホワイトデーの。」
「あ、ありがとう。あけていい?」
「いいよ。」
中から出てきたのは二匹の兎。
何か小さい箱つき。
「うさぎ・・・」
「可愛いでしょ?」
「うん。」
「好き?」
「大好き!!」
ウサギさん、好きなの!!可愛い!!
「って、兎が持ってた箱は?」
「あ、これ?」
「それ。」
「何?」
「あけて!!」
中から出てきたのは多数のアクセサリー。
どれもヘアーアクセ。
「俺、金ないから兎で精一杯。だからこっちの箱はいろんな店で可愛いやつ探してみました。」
「あ、ありがと。」
言葉が詰まった。
「あ、これ付けようよ。髪いじっていい?」
「う、うん。」
スルスルと慣れた手つきでゴムをとられた。
今まで髪を結んでない姿を男の人に見られるのが苦手だった・・・いや、今も苦手なはず。だけど、竜や隼人は平気なのかも・・・好きだからなのかな・・・?
髪からじかに伝わってくる隼人の指の感触。
すごく心臓がドキドキ言ってる。
竜のときと一緒だ。
「の髪、綺麗だね。」
「あ、ありがと///」
照れるし。顔、絶対赤いでしょ。
耳まで赤くなってたらばれちゃうよね。
そんなこと考えてたら耳の近くで小さく聞こえた口づけの音。
「は、隼人・・・?」
「んー?あんま綺麗でつい♪」
「て、照れるでしょ!!」
「あ、赤くなってるし。かーわーいーいー。」
「自分でやる!!」
もう、隼人の馬鹿馬鹿。
意地悪だ!!
「ごめんって・・・。ふざけすぎました!真面目にやります。」
「うん。」
心臓って破裂するのかなあ・・・・。
「よし、はい。かわいい。」
「あ、ありがと・・・」
「(きゅんv)ちゅーしていい?」
「だ、駄目!!」
キスといえば竜にもされたなあ・・・
「額と指・・・。」
「どした?」
「あ、声に出してた?」
「ばっちり!!」
「竜にキスされた場所///」
恥ずかしい・・・ってか、言うんじゃなかった!!
「竜に?」
「う、うん・・・。」
「あいつ、どさくさにまぎれて・・・。」
「は、隼人?はーちゃーん?」
「右?左?」
「え、右。」
「んじゃ。」
左手を持ち上げられ指にキス。
音つきで。
「は、隼人!!」
「なーにー?」
「知らない!!兎とこれ、ありがと!!じゃ、かえるね!!お邪魔しました!!!!」
もう、隼人の馬鹿。
ってか、よく考えたら竜も馬鹿。
もう、最悪!!!
_______
その後の矢吹家
「可愛いこだな。ちゃん。」
「料理も上手だしね。あ、これ兄貴の分だよ。」
「さんきゅーうんまーい♪」
「隼人の嫁になってくれねぇかなあ。」
「俺が嫁に欲しいなあ。」
「駄目!!」
「駄目って・・・兄貴、早くしないと、きっと竜さんにとられちゃうよ。」
「絶対わたさねぇよ。」
「なら。早く男としてみてもらわないとね。」
「はい。」
一方、私は矢吹家でこんな会話をしてるのを知らず、家のベッドで葛藤をしていましたとさ。
NEXT
あとがき。
長かった。
半分でいいくらい長かった。
読むのも大変だったでしょう?
ルーズリーフ4枚半ですからね・・・。
こんな長いのはもう書かないと誓いましょうとも!!
大体短編で、ルーズリーフ2,3枚ですもん。
これ長い!!
瀬陰暗鬼