一人いないだけでこんなにも日常が違うんだね。
本当の気持ち 02.脱走
「学校こねぇってどういうことだよ!!」
「もしかして昨日のことで?」
「かもな・・・」
今日、竜が学校に来ない。
久美ちゃんに事情を聞いても、よくわからない。
昨日、私も行けば良かった。
「竜のやつ、ケータイにもぜんぜんでないんだよ。」
ケータイにも出ない・・・・そういえばあの後、竜と連絡をとっていない。
竜、私にぐらい連絡をくれてもいいじゃない。
「もしかしてあいつ、家に閉じ込められてるとか?」
「ありえねぇだろ。そんなこと。」
・・・・ありえない・・・とは限らない。
金持ちって普通と違うことをしたがるし。(例、母親)
「・・・どうすんだよ。みんな揃って卒業すんだろ!?ほっといていいのかよ!!」
「隼人!ヤンクミ責めてもなんもならないから!!」
「でも・・・」
「いいわけねぇだろ!!だけど今はどうしていいのかわかんねぇんだよ。」
「ヤンクミ・・・」
とりあえず、聞かなきゃ、昨日のこと。
「とりあえず昨日の話し聞かせて」
「あ・・・あぁ。」
全て聞いた。
こいつらは馬鹿だ。
でも、こいつらに悪態ついても意味がない。
まず、竜だ。
「お前ら、よけなことすんなよ。俺、竜と何とかして連絡取る。もしかしたら会えるかもしれない。お前らよりも確率は高い。だから余計なことすんな。で、ヤンクミ。俺早退ね。」
私は教室から出た。
目指すは、竜の家・・・といいたいところだけどまず女に戻るのが先。
竜、あんたのいない3Dは嫌だよ。
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「お母さん。お願いがあるの。小田切の家の電話番号教えて。」
『ちゃんからのお願いって珍しいわね。いいわ。メールで送る。』
「ありがとう。」
三分後お母さんからのメール。竜に、会いたい。
Pi....rurururur
『小田切です。』
「と申します。はじめまして。急な電話でスミマセン。」
『さん・・・・夫への御用でしょうか?』
「いえ、私、娘のです。母がお世話になっております。」
『あら、娘さんが何故?』
「竜さんとある縁で知り合ったのですが、昨日から連絡が取れなくて。」
『あら、そうよね、今、竜、ケータイ使えないから。あ、ちょっと待ってくださいね。今、かわりますわ。』
「あの、あって話すことは可能でしょうか?」
『え・・・・まあ、あなたなら大丈夫だと思いますわ。』
「では、伺っても宜しいでしょうか?」
『えぇ。どうぞ。』
「ありがとうございます。では、後ほど失礼致します。」
__________
ピーンポーン
「いらっしゃい。」
「お久しぶりです。」
「竜の部屋にご案内するわ。」
「ありがとうございます。」
「あ、あなた。さんのところの娘さん。大きくなったわよね。」
「お久しぶりです。母がいつもお世話になっております。」
「こちらこそ。さんから聞いてるよ。竜と同じクラスだそうだね。」
「はい。お世話になっております。」
「あんなレベルの低い連中と一緒にいると君も・・・。」
「大丈夫です。私は、今は、私の意思であそこにいます。今まで知らなかったことがたくさんベールに包まれてあるんです。すごく毎日が充実しています。すごく楽しいです。ただ今日は、竜さんがいなかったから少しいつもと違いました。竜さんがいないだけでそこは、毎日が楽しい場所じゃなくなってしまったんです。竜さんをまた通わせて上げてください。私、いっしょに居たいんです。お願いします。」
コレが私が出来る精一杯。
「あなた・・・。」
「ゆっくりしていくといい。」
やっぱり首を縦に振らなかった。
頑固だ。
ごめん・・・。
「竜の部屋、案内するわね。」
「あ、はい。ありがとうございます。」
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コンコン・・・
「竜、元気?」
「っ・・・・!?」
「来ちゃった。」
ねぇ、竜はなんでそんな顔しているの?
すごくすごく辛そうだよ。
「竜、逃げようか。家来る?幸い私、一人暮らしだし。」
「・・・」
「なーんて。冗談だよ。」
「何で来た?」
「3Dが3Dじゃなくて・・・嫌だったの。竜がいないとパズルのピースが一つ足りないみたいな感じ。」
「・・・・・・・。」
「竜、ちゃんと話さなきゃ伝わらないよ。あと、私は竜の味方だから。」
「あぁ・・・。」
「あ、朝ごはん?食べなきゃ駄目だよ?食べなよ?」
「あぁ。」
「じゃあ、私は帰るね。またね。」
「気をつけて。」
「うん。」
伝わったかな、私の気持ち。
伝えられるといいね、竜の気持ち。
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「久美ちゃん、竜は?」
「今、あそこで休んでるよ。」
「怪我は?」
「たいしたことない。」
「そう。」
夜、風呂に入ってのんびりしていたら電話が来て、相手は久美ちゃんだった。
本当に馬鹿なやつらだ。久美ちゃんから全部聞いた。
何もすんなっていったのになあ。
本当馬鹿なんだから!!
「ねぇ、どうして竜は泣かないのかな。溜め込んでるものが多すぎる。」
「あいつを信じよう。」
「もちろん。あ、今日泊めてね。」
「あぁ。いいぞ。」
_________
「あ、隼人。」
「!?」
「この格好の時にその名前はないでしょ?」
「。」
「ヤンクミに連絡もらったの。」
「そっか、竜は?」
「いるよ。」
「ん。」
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「何か、結局お前らのこと巻き込んじゃったな。」
「気にすんなって。」
「そうそう。もともと何もすんなって言ったのに無視したのこの4人だから。」
「、酷い。俺らの気持ちわかるでしょ?」
「わかるけど、本当のことでしょ。」
少しでも重い気を変えたかったんだよ。
みんなの顔に笑顔がないんだもん。
「まあ、もともと俺らが馬鹿なことやっちまったからだし。」
「その通りだね。」
「お前が責任感じる必要ねぇよ。」
「竜、悪くないし。」
でもやっぱ重い気は変わんなかった。
変えたいのに・・・。
「しっかしヤンクミん家ってすげぇなあ。」
「日向(笑)」
日向の一言で場の気が変わった。
ありがとう・・・・日向。
焦ってる久美ちゃんはいつもながら可愛い。
「お嬢、小田切さんって方がいらっしゃいました。」
ミノルサンが来て発した言葉はそんな気を壊したんだ。
NEXT
あとがき。
竜編もクライマックスが近付いてきましたね。
これ、学校でうってます。
パソコン持ち込んで。(笑
楽しんでいただけたら幸いです。
では。
瀬陰暗鬼