カランカランとグラスに入った氷が鳴る。
日付が変わった。
君と私と10日間
私の誕生日と彼の誕生日は10日しかかわらない。
でも、私は彼よりも一年早く成人式を迎えたし、卒業だってした。
でも、10日しかかわらないから、同い年な期間が凄く長い。
「百面相。」
そういってグラスに口付ける彼は私よりも何十倍も大人に見えた。
カランと音を立てながら、コトリとグラスを置いて彼はこっちを見た。
「何考えてた?俺のこと?」
「自意識過剰。」
くすくすと笑って、グラスを持ち上げるとまたカランと鳴る。
考えてたよ。なんて、そんなこと言ったときにや、次に何が待ってるかわからない。
「あーあ。同じ時間を共有したかった。」
とか、いつも思う。
あなたが、10日早く生まれていれば。
私が、10日遅く生まれていれば。
同級生になることもあっただろう。
隣の席になることだってあっただろう。
「共有してるじゃん。今。」
でも、そんなことは、ね?と笑う智久を見たらどうでもよくなってしまうけれど。
だって、この綺麗な顔で微笑まれると私の心臓はいつも飛び跳ねるんだ。
「それより、大切なこと、忘れてない?」
「・・・あ、そうだね。」
グラスをカランと言う音と共にテーブルに任せて、向き合った。
おめでとうといって軽く挨拶程度のキスをして。
「俺、昨日仕事しながら今のと似たようなこと考えてたよ。」
「やっぱ、考えるよね。」
「でもさ、俺が今日生まれて、が3月31日に生まれたから、今があると思うんだよね。」
だから今のままでいいじゃん。と言う智久にそうだね。と同意しながら、カランカランとグラスを揺らす。
「来年もこうやってこんなこと言ってる気がする。」
「それって来年も俺といてくれるってこと?」
「そのつもりだけど?何・・・智久は違うの?」
巨乳なお姉さんの所にでも行くの?と笑ったら、こら!と言われた。
「ちがわない。」
いつもの子供な智久に少し、笑ってしまった。
お酒で色気付けたって、私達は一生かわらないんだろう。
そんなことを考えながらもう一度口付けを。
そしたら、あなたのことしか考えられなくなるから。
私たちの横でグラスの中の氷がカランカランカランと何故か、音を立てた。
HAPPY BIRTHDAY.
あとがき。
英語のテスト中に作った一本。(3月23日の日記参照)
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ちなみに、実は途中カラカラとうるさい氷の音は10回で、10日を表してたりします。
ってか、初めて、主人公の誕生日の指定をしてしまった・・・!
ってか、どうしても、ぴぃ様でこのネタを一度やりたかったんだ!!
瀬陰暗鬼。