とあるカフェからピアノの音がする。
俺はそこへ歩を進めた。
メロディーにのせて
「。」
「あ、お仕事、お疲れ様。」
「もお疲れ。帰ろう。」
「うん。マスター、お先に失礼します。」
この子は俺の彼女。
最近ここでバイトを始めた。
バイトって言ってもちょっと特殊で、ピアノやフルートを演奏するバイト。
今じゃ、それを目当てに来るお客さんもいるらしい。
「今日、誕生日だよね!おめでとう。」
「ありがと。」
「昨日、ケーキをね、作ったの。夕食、家で食べていってね。」
現在は独り暮らし。
お嬢さんってこともあって、マンションは独り暮らしにはもったいないくらい広い。
ちなみに、グランドピアノまで置いてある。
「パスタでいい?すぐに作るね。」
「うん。あ!その前に、今日、カフェで最後に弾いてたやつ、弾いて。」
「ん?」
「お願い。」
「・・・いいよ!」
カフェでが弾いていたのは今日の朝、テレビで流れてた映画の挿入歌のアレンジだったらしい。
“旋律”ってタイトルの曲だ。
ただの映画の挿入歌もは立派なクラシックにしてしまった。
「いい曲。」
「他に御所望は?」
「・・・のピアノで歌いたいな。」
「愛の華?」
「うん。」
のピアノで歌うのははじめてだ。
ライヴとかの音とりとかでもひ弾いて欲しかったなあなんて。
「ねぇ、竜也。」
「ん?」
「これも、聞いて。」
が弾き始めたのはとっても柔らかい曲。
どこか、暖かくなるような。
心地がいい。
「この曲ね、愛の花って言うの。」
「花?」
「うん。花。見付けてね、ついつい買っちゃった。」
女の人から大好きな人への“愛してる。私はずっと共にいます。”って気持ちを込めた曲だって嬉しそうににはいう。
「大好きだよ。ずっとずっと一緒にいさせてね。」
「うん。」
君が奏でるメロディーにのせて、僕は君への愛を歌っていたい。
あとがき
可愛い二人が書きたかったです。
意外に可愛くなったかな?うーん。
誕生日おめでとう!
瀬陰暗鬼。