ピピピ・・・と小鳥が鳴く。
幸せの素
「んー・・・!」
今日の朝もすっぱり起きられた。
きっと一日いい日になるね。
「おはよ、悠。」
机の上の写真の悠一郎におはようと言う。
毎日やってたら日課になってしまった。
この写真は悠一郎が桐青戦でバッターボックスに立ってたときのもの。
この直後、シンカーを打って、かっこよかったんだあ。
「さってと、朝は忙しいぞー!」
一日の中で、一番忙しいのは朝だと思う。
「おはよう、。朝ごはん、出来てるよ。」
「うん!おはよう、お母さん。」
お母さんと並んでお弁当作り。
お母さんはお父さんの。
私は、自分の・・・と、悠一郎の分も作る。
朝ごはんはこれが終わってから。
「このにんじん、大きいね。」
「ああ、悠ちゃん家のおじいちゃんがね、くれたのよ。」
悠一郎の家の畑で獲れた野菜はすごくおいしい。
お弁当のお礼とかでいつもおばさんや、悠一郎からもらったり、それとは別におじいちゃんやおばあちゃんもくれる。
いつもとーってもありがたい。
「今日は上手く出来た!」
卵焼きが上手く焼けると嬉しいよね。
「いってきまぁす!」
私は西浦高校まで自転車で通ってる。
徒歩でもいい距離だけど、部活には遅れたくないし、少しでものんびり朝を過ごしたいのだ。
ちなみに、自転車で1、2分の距離だったりする。
徒歩だと5〜10分くらいかな。
部活はソフトボール部。
一度、野球部のマネジも考えたが、私は応援サイドより、体を動かしたいみたい。
運動してると楽しいんだ。
「、おはよ!」
「先輩ッ、おはようございます!!」
朝の挨拶って気持ちいいよね。
「せんぱーい、今日こそ投げてくださーい。」
「やだよ!あんたに投げっと自信喪失するもん。」
ソフトボールは楽しい。
だけど、中学まで悠一郎て一緒に野球をやってたから、打率も飛距離も先輩が言うに普通じゃないらしい。
本当は私も一緒に野球がやれたらよかったんだけどね。
キンッという金属音。
「今日も絶好調ね。」
「うはは。誉められちゃった!」
朝から誉められると嬉しくなる。
「おーす。」
「あ、悠!おはよー。」
今日は、野球部はミーティングの日みたいだ。
「いーなー。ラッブラブー。」
「そんなんじゃないですよー。」
悠一郎との関係はいつもからかわれる。
「あがんねーの?」
「あがるよー。待っててくれる?」
「おう!」
教室に入るのはいつも一緒だ。
「なーなー。今日、一緒に帰ろうぜ。」
「いーよ。」
「んで、俺ん家で飯!」
「いいの?」
「今日はごちそう!!」
今日は悠一郎の誕生日だ。
私も昨日からばっちり用意した。
「悠。」
「ん?」
「はい。」
「わ!てぶくろ!?」
「かわいーでしょ。」
これから寒くなるから。
「さんきゅー!!」
「気に入った?」
「もちろん!!」
私、悠一郎の笑顔は幸せの素だと思う。
「悠、大好き。」
「俺も!」
朝すっぱり起きることより、卵焼きが上手に焼けることより、朝からいいあたりより、誉められることより・・・何よりも、
あなたの笑顔で私は幸せです。
あとがき。
可愛い女の子が書きたかったんです。
瀬陰暗鬼。