「だいっきらい!!!」
そう言われた一昨日。
言ったのは、彼女だった。
それ以来、そいつは目すら合わせてくれません。
ってことで俺は準くんと屋上でおさぼり中だったり。
堕天
「慎吾さん。俺、忙しいンスけど。」
「いやー、準くん。空が青いね。」
「今度はなンスか?」
「準くんのがいいんだと。」
大嫌いと言われ、教室にとぼとぼと戻る途中、彼女と山ちゃんが話しているのを見た。
聞き耳を立ててみると、準太くんを好きになればよかった!!と聞こえた。
「また浮気とか?」
「浮気じゃねぇよ。あいつは特別。」
「ああ、さん。」
「え、何で名前呼びなわけ?」
「みんな名前ッスよ。ちゃんって呼んでるの、慎吾さんぐらいッス。」
野球部のマネジだったちゃん。
だったってのがポイントで一年前にやめている。
「さん、今は吹奏楽部ですよね。」
「ま、もうそろそろ引退だけどな。フルート吹いてる。」
「つか、何したンスか?」
「楽譜運びを手伝っただけ。」
ついでに苺ミルクなんかを奢っちゃったけど。
「それくらいで嫉妬ッスか?」
「ん。あ、あとほっぺにちゅーした。」
「・・・彼女、作らなきゃいいじゃないですか。」
でも、女の子が寄って来る。可愛い子を無碍には出来ない。
そう言うと準太は溜息。
「なら、さんと付き合ったらどうッスか?」
「やー、無理無理。だって、ちゃんったら俺だけ苗字呼びじゃん。」
「あ、そう言えばそうッスね。」
「嫌われてんのよ、俺。」
「違うと思いますけど。」
授業が終わる音がした。
「次、古典なんで行きます。」
「ん。」
準太が行ってからぐーっと伸びて転がった。
雲がうようよしてる。
眠くなる。
「あ!本当にいた!!」
屋上の扉が開いて、入ってきたのはちゃん。
「島崎くん。」
二時間連続おさぼりは駄目ですよーって言いながらゴローンと俺の隣に寝転がった。
「どーした?」
「えへへ、島崎くんを探してたの。」
屈託のない真っ直ぐな笑顔。
可愛いな。
「俺?」
「うん。」
にこにことその笑顔に俺は癒される。
だけど・・・
「え?」
俺は向きを変えてちゃんを抱きしめた。
―そんなに無防備じゃ、駄目だよ。
「島崎く・・・・んっ!」
そのまま強引にキスをした。
やっぱ、好きなんだ。って思った。
「んぅっ・・・ふぁ・・・」
漏れる甘い声に酔いそうだった。
口内を犯しているはずなのに、全身を犯しているような気分になる。
ゆっくり離れると、糸をひいた。
肩を上下させて息をしているのを見て、少し罪悪感が襲ってきた。
「悪い。」
キョトンとされた。
「何で?」
「何でって・・・」
「もしかして、私のこと好きじゃないのにキス・・・したの?」
意外な言葉。
「いや、すっげぇ、好き。でも、付き合ってねーし、強引だったし。」
「島崎くんって、意外とヘタレなんだね。」
くすくすと笑われた。
「私は・・・好きな人だったらどんなときでも触れたいって思うし、キスしたいって思う。」
真っ赤になりながら言うちゃんに俺は驚かされた。
「俺の都合よくとっていいわけ?」
「いいよ。」
もう一度唇をあわせた。
「俺、嫌われてると思った。」
「何で?」
「俺だけ苗字だから。」
「・・・そんなこと?それはだって、島崎くんが苗字で呼ぶからだよ。」
二人して笑った。
「、もう一回したい。」
「いいよ、慎吾。」
触れるだけのリップキス。
「そーいや、どうして探してたの?」
「だって今日は慎吾の誕生日でしょ?」
だからもともとからキスをくれる予定だったらしい。
「おめでとう。」
俺はにやりと笑った。
「俺、今、すっごいしたいことあるんだけど。」
「学校じゃやだ。」
今、天使が地に堕ちた。
あとがき。
スランプになる前に書きました。
ってか書きながら気付いたんですが、慎吾さん夢は何気に初書きかもしれない。
結構慎吾さん書いてる気がしてたんだけど・・・全部別の人のところだった・・・!
でも、大好きです!おめでとう。
瀬陰暗鬼。