俺たちは反発しあってるんだ。






















「あ、王子!誕生日おめでとー。」

「んー。」





今日は誕生日だからいろんな奴がプレゼントをくれる。

そのせいか、無駄に机の辺りがぐちゃぐちゃになっていた。





「あーら。さっすが、野球部のエースですねぇ。すっごい量のプレゼント。」





いきなり上から降ってきた馬鹿にするような口調に少しいらついた。





「うっせーよ。」

「あれ?王子はご機嫌斜めみたいね?」





この女は腐れ縁で、近所に住んでる奴。

性格は何故かそっくりだって言われる。(俺はここまで性格悪くねぇっつの。)





「あ、姫。学校祭のことなんだけどさ・・・」

「んー・・・次のHRで話あおっか。」





俺がうちのクラス限定で王子と呼ばれてるのと同じで、こいつは姫と呼ばれてたりする。
性格はともかく、顔も頭も良く、ソフト部のエースってこともあるい、男女共に人気があるらしい。





「王子は学校祭、何がやりたい?」

「俺が参加しなくていいやつ。」

「あ、王子は野球部でなんかやらなきゃだもんねー。あ、姫もソフトであるの?」

「んー?私はないよー。安心してね。」

「ケーッ。」

「あ、王子。HRは参加してよね。」

「・・・。」

「返事は?」

「はいはい。」





昔は元希って呼んでいたくせに、今はクラスの連中と同じで、王子って呼ぶ。

それが、すごく、すごく気に入らなかったりする。





。」

「何?」

「今日さ・・・」

「私、部活あるんだけど。」

「・・・終わったらでいい。」

「は?」





こいつはかなりの鈍感だ。

クラス中が俺に対して哀れみの目を向けてくる。





「姫。」

「何?」

「王子さ、今日は誕生日なんだし、一緒に帰ってあげたら?」





俺の気持ちはクラスの連中には筒抜けらしい。(あと部活の人達にも)





「え、一緒に?」

「そうそう。大荷物だしさ。」

「・・・別にいいけど・・・」





用事ってそれなの?って俺に聞いてくるに、それなの。とそっけなく返した。

とりあえず俺は、クラスメイトに感謝した。










*








「あ、ねーねー。今年はおばさん、どんなケーキ作るの?」

「・・・しらねぇ。」





楽しみーと笑いながら一緒に歩く姿は普通の女と全く変わらない。





さ・・お前は何もくれねぇの?」





人の家でケーキを食うならなんかしら用意しておくもんだろう。





「こんだけ貰ってるんだから、いらないでしょ。」

「お前、まじでケーキだけ食うつもりか。」

「悪い?」

「当然だろ。なんかよこせ。」





他の誰から貰うものよりも欲しいから。





「・・・な、んでよ・・・」





声が小さくなった。

ここで言わなきゃ男じゃねぇと思った。





「好きだから。」

「・・・嘘だ。」

「嘘ついてどうすんだよ!!」





大きな声を出した。





「・・・元希のばーか、ばーか。」

「は!?」





は俯いてしまった。





「あのー・・・?」

「私のこと好きなら、他の人から貰わないでよ。私だけにしてよ。」





嬉しいと思った。

だって、それは小さなヤキモチだから。





「んじゃ、これ、ここに捨ててくわ。」

「バ、バカ!貰ったんだから持ち帰りなさいっ!もう!!」





矛盾した言動に笑った。





「・・・大好き。」

「っ・・・!」





すっげー照れる。





「誕プレ、これでいい?」

「だ、駄目に決まってんだろ!!!」

「えー・・・」





俺たちは近くにいるときは反発しあって・・・

遠くにいるときは惹かれあう。



そんな・・・微妙な磁石みたいな関係。










―fin。


あとがき。

ただ、姫と王子設定にしたかっただけです。はい。
主人公が可愛い子だと、いい。

瀬陰暗鬼。