「全く・・・あの人はどこにいるんだか・・・。」
真夜中24時
本日、7月31日。
時刻23時。
「多分、地中海付近の国にいるとは思うんだけどね。」
私はある男を捜していた。
私の師匠、クロス・マリアンだ。
この時間はもしかしたら、遊郭にでも行ってるかもしれない。
奴のことだからこの可能性が一番高いだろうが・・・。
「見つからなかったら、これは無駄になるのね・・・。」
プレゼントはレザーの手袋。結構な値だった。
だから、無駄にはしたくないのだが・・・
見つからなかったら、ソカロ元帥あたりにでもあげておくか・・・。
や、ここは科学班の誰かの方が楽か。
「あれ?さん・・・?」
弟弟子と巡り会えた。
これは何かの運命だろうか。それとも私の日頃の行いがいいのか・・・。
まあ、後者は誰が見ても否定するだろう。
とりあえず、これほどラッキーな事はない。
「アレン、あの人は何処?」
「え、あ・・・それが・・・・」
「別に女のとこでも何処でもいいわよ。」
「いえ・・・実は・・・」
「え?」
今日のクロスは宿で不貞寝をしているそうだ。
あのクロスが女で遊ばず、宿で大人しく寝ているなんて、珍しすぎて、明日は槍でも降るんじゃないか。
でも・・・
「何処?」
「え?」
「宿は何処?」
「地図、書きますね!」
「いや・・・不安だから、ティムを借りるわ。あの人のところに着いたらちゃんとこっちに飛ばすから。」
迷子になる人が書く地図など信用できるわけがない。
「ティム、よろしくね。」
パタパタという羽音に従って進むと宿に到着した。
「贅沢な宿だこと。まあ、教団の資金じゃないからこれはアレンへのツケね。」
受付の女の子に部屋を聞き、ノックした。
「馬鹿弟子か?」
「弟子だけど馬鹿じゃないわ。」
「・・・入れ。」
グデーンとソファーに横になっているクロスがいた。
周囲には酒瓶がゴロゴロと転がっている。
「どんだけ一人で飲んだの?女のところに行けばいいのに。」
「遅い。何時だと思ってんだ。」
「23時半。間に合ったんだからいいじゃない。」
「よくねぇ。」
転がっている酒瓶は、自棄酒として飲まれたものだという事がわかった。
きっとこれ以外にも酒瓶があるのだろう。
アレンも可哀想なことだ。
全部つけられる。
「こんなに酔って・・・子供じゃないんだから。」
「うるせぇよ。」
強引に押し当てられた唇に諦めなきゃと思わされた。
「もう・・・本当に子供みたいね。」
「何でここにいねぇんだよ。」
「じゃあ、何で他に弟子なんて作ったのよ。」
クロスが私の他に弟子を作るって言ったから、私はクロスの元を離れ、本部に向かった。
「仕方ねぇだろ。」
「何がよ。」
私だけのクロス・マリアンでいて欲しかったのに。
「、来い。」
「・・・待って、その前に。」
プレゼントを渡しておめでとうぐらい言わせて欲しい。
「おめでとう、クロス。ところで、いくつになったの?」
「さあな。」
「実は40過ぎてますとか?ソカロ元帥よりも年上よ?」
「さあな。」
「あ、この前ね、科学班の奴にデートに誘われちゃった。」
「あん?」
ちゃんと断ったけどね。
私にはこの人以上の人なんていない。
「だからやだったんだよ。」
「何が?」
「教団に行かすの。」
「・・・ふーん。」
「ったく・・・、お前が誰のモンかわからせてやる。」
「お手柔らかに。」
唇を重ねて、ゆっくり離れた。
「せめて、どこにいるかぐらい教えてくれないと一ヶ月も探すことになるのよ。」
それで見つからなかった事はないけれど。
「あと・・・あんまり連絡がないと拗ねるからね。」
「・・・愛してる。」
「もう・・・調子いいんだから。」
それでも私はあなたから離れられないのだけれど。
時計の針が12を指した。
それが開始の合図。
あとがき。
誕生日おめでとうございまーす!
ちょっと子供のような拗ね拗ねクロスにしてみました。
この人は、俺のものは俺のもの、お前のものも俺のものってタイプだと思ってるんで。
自分のものが他のところに行ってて、誕生日にも来てくれないから自棄酒っていうのが書きたかった。
ってか、最近うちの子が可愛くないのはどうしてだろう・・・。
ソカロ夢書こう・・・。可愛い子を求めて。←
瀬陰暗鬼