「うっわ、仁。すっげー不機嫌。」





それは昨日のことでした。









*









「ねぇ、!」

「今、忙しい。」

「明日暇?明日さー、仕事終わったらすぐに帰ってくるからさー」

「暇じゃない。明日はレセプションと企画会議があるから多分残業。」




カタカタとパソコンの音が鳴る。

さっき聞いたら、これは明日の企画会議の資料らしい。
は世間で言うキャリアウーマンってやつで、俺とはある意味真逆な女だ。



でも・・・!





「明日は・・・」

「仁、先に寝なよ。私は多分、徹夜だからさ。」




明日、四時には出勤だ。邪魔はしたくない。

今は夜の11時。
あと一時間なのに俺はの部屋から出た。








*








「ってわけ。」

「うん、流石だね。」

ちゃんかっこいいね。」

さんだっつの!名前で呼ぶな!!」




何でこいつらがのことを知ってるのかっつーと、ひとえには元々、中丸の知り合いだったからってわけ。





「でも、は誕生日を忘れるようなタイプじゃないよ。」




だから尚更ショックなのだ。
忘れるタイプじゃないのに忘れてるから。




「バッカだなー、赤西くんはー。“祝って”って言えばいーじゃん。」




あほなことを言った田口に近くにあった硬そうなものを投げた。




「・・・俺からメールしようか?」




中丸の優しさ入りましたー。




「れせぺしょん中か会議中だから駄目。」

「レセプションなー。」




祝っては恥ずいし、言えないから・・・。




「別れろっていうお告げだったりして。」

「ちょっ、上田!」

「あ、ごめん。」




自分でも好きなのは俺だけなんじゃないかって不安になってたのに、他人に言われるとへこむ。




「ま、仕事終わって帰ってみて考えたら?仁は考えるよりも行動でしょ。最悪押し倒しちゃえ!」

「か、亀ッ!なんてことを・・・」

「そっか・・・そうだよな!」

「あ、赤西・・・?や、やめようね?押し倒すなんてしちゃ駄目だよ!?」





わたわたしている中丸を余所に、俺は意気込んでいた。
だって、そんなの関係ねぇもん。

がいなくなったら・・・つか、俺、と別れたら絶対犯罪者になる。
のこと監禁してー・・・泣かしてー・・・ってすると思う。
それくらい好きなんだ。大好きなんだ。





「うっし!撮影終わらすぞー、おー!!」

「おー?」








*









8時、予定より二時間押しで撮影は終わった。
ちなみに今日上手くいかなかったのは俺で、時間で押したのは俺のせい。

ちなみに家の電気はついていなかった。




「ただいまー・・・」




おかえりはやっぱりない。
リビングに入るといい匂いがした。テーブルの上に料理があった。




・・・?」




テーブルに突っ伏して寝ているを見て、この料理はが作ってくれたんだって思った。
まじで今日は徹夜明けだったし・・・でも・・・





「ん、まぶしっ・・・ああ、仁・・・?」




微笑んで俺の名を呼ぶから心臓を射抜かれたようになった。




「おかえり。」

「ん、ただいま。」

「遅かったね。」

「・・・ん。」




ワインがグラスに注がれていく。




「あのさ!」

「何?」

「これ・・・どーしたんだよ・・・」




あんた馬鹿?と軽く言われた。




「誕生日でしょ。今日。」




綺麗に微笑んだに抱きついた。




「ちょっ・・・」

「忘れてっと思った・・・!」




もしかしたら震えてるかもしれない。
でも、今はに触れたくて、触れたくて。




「ごはん・・・」

「即席だけどね。冷たくなってもいいものばっかりにしたから。」




ケーキも買ってきたよ。と、言われて少しでも疑った事が恥ずかしかった。




「仁?」

「大好き。」

「知ってる。」

「愛してる。」

「うん。」

「生まれてきてよかった。」




はいはいと抱きしめ返してくれた事も、嬉しかった。




「生まれてきてくれてありがとう。仁。」








謝、激、・・・









「なーなー、プレゼントは?」

「(ずうずうしいな、オイ。)実はね・・・」

「ん?」

「できたから、何とかしてね。」

「何が?」

「・・・子供・・・。」

「!・・・俺と結婚してください!!」

「・・・ジャニーさんに許可貰ってください。」


end.

あとがき。

感謝、感激、雨嵐です。(笑)
仁はめっちゃ久々に書きました・・・!
おめでとう!

瀬陰暗鬼。