―ーっ!!
そんなあいつの叫ぶ声が消えて半年が経った。
そいつの名は矢吹隼人。
嫌いだけど、好きな奴。
あいつは一人で旅立った。
自分探しの旅に一人で旅立った。
行かないで。なんて言えなかった。
何も予定を立てずに、ケロッとしてどこかに行ったあいつ。
親友に聞いても何も知らないという。
私は現在浪人生。
大学にちゃんと入れていれば忙しく、こんな余計なことも考えないのだろう。
最悪だ。
―二年後、また来るから!!
そんなこと言ってたなあ。
でも、私は半年で我慢の限界だよ。
「馬鹿、馬鹿、馬鹿隼人。」
物につい、八つ当たりしてしまう。
休日は嫌いだ。
大嫌いだ。
「ちゃん。遊びにきちゃったよ。」
「啓太君!!」
馬鹿隼人の親友の一人、啓太君。
親友の隼人と親友の竜においていかれた、ある意味一番可愛そうな子であった。
「え!?いきなり抱きつくの拒否!?」
抱きつこうとしてさらりと拒否されてしまった。
寂しいんだよ・・・。
「ちゃん、グッドニュースだよ!!」
「へ?」
いい話って?
「隼人が里帰りしまーっす!ってメールくれたんだよ!!!!」
里帰り・・・?
隼人に会えるの・・・?
「啓太君、駅に行こう。駅!!」
*
私たちが駅に到着してから何本も電車が通り過ぎた。
でも、いない。
あいつは来ない。
「啓太君・・・隼人、私のこと嫌いなのかなあ・・・。」
「そ、そんなの絶対ありえないよ!!」
でも・・・啓太君を使ってまで私に嘘を付いたんだよ。
「帰ろう。」
隼人なんか大嫌いだ。
______
ピンポーン・・・・
「ん・・・こんな朝早くになんですかー・・・・・って・・・・」
目の前にいたのはよく知った人。
「やっほ。いやあ、昨日帰る予定だったんだけどさあ・・・電車乗り遅れちゃって♪」
エヘッ♪待った?って・・・ほんと、ムカツク。
「嘘つき・・・」
「予定は未定って言うじゃん。」
「待ってたんだもん・・・。」
頭をぽんぽんと規則正しく撫でる隼人が好きだ。
「二年って言ってた・・・。」
「そうなんだけどさ・・・待てなかったです。」
半年でギブアップな私たちは似たもの同士。
「また、予定は未定って言うんでしょう?迎えに来てくれたの?」
「そ。ってか迎えに来たって言うより、忘れ物をとりに来たって感じ!!!」
私は忘れ物かよ。
でも・・・
「もう、忘れないでよね!!!」
やっぱ隼人が大好きなんだ。
私たちの生活では、
予定は未定
である。
087.予定は未定
あとがき。
いやあ・・・隼人のおばかさん☆(ぇ
これ、主人公がかわいくなればいいなーって書いたヤツです。
かわいいですかー?
まあ、お題夢はちゃっちゃと仕上がって楽しいです。
短編は悩まなくていいから好きだなあ。(ぉぃ
瀬陰暗鬼