「綺麗な赤色。」


突然、俺の髪を触りだしたが一言。
普段そんな事を言うような奴じゃないから俺は驚いてしまった。


「…熱でも出た?」

「酷い事言うのね。せっかく褒めてあげたのに。」

「お前今まで俺の事褒めた事無ェもん。」

「褒めるところが無かったから褒めなかっただけなんだけど。」



けろっとした表情で発言をする。(少しその言葉に傷ついた。)
そんな俺を差し置いては呑気にコーヒーを啜っていた。
奴は甘党だ。コーヒーも砂糖とミルクがたっぷり入っていてまるでカフェオレのようだ。
テレビからはニュースが流れていて、嗚呼物騒な世の中だな…なんて俺らしくないことを考えてしまう。
の一言に動揺している証拠)


「なあ。」

「何よ。」

「お前、赤好きなのか?」

「別に…。ただなんとなく。」

「(べ、別に…って…)じゃあなんでそんな事言うんだよ。」



気になるじゃねえか…とテレビから流れる音にかき消されるほどの声で呟いた。
聞こえなかったのか、また甘いコーヒーを飲んでニュースを見ていた



「だって、」


テレビに視線を預けたまま、片手にコーヒーカップを持ったまま、ぽつりと切り出し始めた。
俺はソファに沈んだままその言葉の続きを待ってみた。




「赤はルキの色だから。それだけ。」




赤は、俺の色…?
これはまた不思議な答えではないか。





でも俺がへの気持ちに気付くには充分効果覿面だ。





066.の色

(友達以上恋人未満に一歩進んだ昼下がり。)

fin.(2007.12.26、加筆修正2008.03.05)
→突発作品。ちょっと短めに、ほのぼのに。