隆也が野球を楽しそうにするなら、それが一番だよ。










055.やっと。










ドキドキしながら第二グラウンドに向かった。
何故か、足がすくむ。





ちゃん?」

「千代ちゃーん!あいかわらず、かわいーなあ!!」

「どうしてここに?」





いきなり確信ですか!!





「あ、阿部くん?」

「う、うん・・・。中学のときのこと思い出してさ・・・大丈夫かなあって・・・。」

「中学のとき?」

「シニアでね、いろいろあったみたいなんだ。」

「そっか。私はソフトだったからなあ。今は瞑想しているよ。」

「あーそう?」

「うん。」





隆也が中学でシニアで頑張ってたとき、1,2年と野球が楽しくないって言っていたのを覚えてる。
理由は聞いてほしくなさそうだったから聞かなかったけど、一時期止めたいって言うほどだったから・・・
3年になってから受験で忙しくなって、隆也と話さなくなって・・・
野球の応援にも行かなかったっけ・・・。





ちゃんと阿部くんって・・・」

「付き合ってないよ。幼馴染。」

「そっか・・・・・・・。」





好きって気持ちがないわけじゃない。

でも・・・隆也の恋人はピッチャーで、野球だ。





「あ、練習はじまったみたい。」

「見に行ってもいい?」

「いいよー。監督に捕まったらマネジに誘われるかもね!」

「それは・・・・」





どれどれ・・・隆也はっと・・・





「三橋!」

「あ、阿部く・・・」

「今日は先にブルペンだと。」

「う、うん。」





生き生きしてる。

なんか・・・嬉しいなあ。
何時もあんな感じなのかなあ。





「マネジ志望?」

「わっ・・・って、美人!」





初対面なのに、人間って素直にできてるんだなあ。





「やーねー、美人なんて嬉しーって、マネジ志望?」

「イイエ!ただ、隆也を・・・」

「阿部くん?」

「はい。」





何時もあんな感じですか?ってきいたらうんって教えてくれた。





「かんと・・・って、?」

「あ、隆也・・・。」

「何してんの?」

「隆也を見に来た!!」





一つだけ聞きたい。





「隆也っ!楽しい?」

「おう。」





笑顔・・・。



よし!





「監督さんっ!私マネジやります!!」

「わ、本当っ!?じゃあ、志賀先生のところに早速行って入部届けを出して!!」




「はいっ!!」






やっと隆也の笑顔が見れた。










あとがき。

主人公ちゃんと千代ちゃんはお友達です。
千代ちゃんは・・・実は暗鬼、あんまし好きじゃないです。
可愛いとは思うんだけどね。
ちなみに今回の主人公の髪はショートです。
あんまし、可愛くないなあ・・・。
はははー・・・。
こういうほのぼのも可愛いなあ思います。

瀬陰暗鬼