そこを譲らない君が好き。










027.不動










「れんれーんっ!!」

さ・・・っんっ・・・」

「田島くんがレンレンって従兄弟の子が呼んでた!って教えてくれたの。それにね、瑠里ちゃんと一昨日お友達になったんだよ!」

「る・・・瑠里と・・・?」

「うん。可愛いよねー。」

「???」






そこまでハテナを出さなくてもいいくらいハテナを出して廉がキョトンとしている。





「昨日、かっこよかったよ!!」





私は野球をまったく知らない。

でも、夏の大会、初戦。
私は浜田くんに誘われていった。

そこではみんな輝いていた。





「うっへっへー、廉、すごくかっこよかったよ!!何度でも言っちゃう!」

、俺は!?」

「えっとねー・・・最後!最後凄かったね!!」

「見てねーだろぉ?」

「見てたよー。」





覚えてないだけだもん。



他は本当に忘れてしまったことが多いけれど、廉のことは鮮明に覚えている。





、課題帳見せて。もう、やってあるだろ?」

「あ、うん。でも、自分でやりなよー・・・」

「部活でへとへとー。」

「もー・・・」

「俺も写す!!!」

「こらこら。」

「お、オレッ・・・もっ!」

「廉はかっこよかったからいいよー。」

「贔屓だー!!!」

「田島、贔屓なんて言葉知ってたの!?」

ひどっ!!!!」





今、レンレンと話したい。
無性に思った。





「廉、本当にかっこよかったよ。私、ふざけてないよ。だってね、逃げ出したくなるような状況なのに、廉は逃げなかった。目を奪われたよ。マウンドを譲らない廉から一回も目を離せなかった。」

「あり・・・がと・・・っ」

「うん。」

「こら、そこのラブラブバカップル。いちゃつくなら屋上行けよ。」

「ばかっ!?」

「なによー。泉だって浜ちゃんとラビュラビュじゃない!!」

「やめろ、気色悪い。」

「ひっでー!!!」





ごめん、浜ちゃん。
浜ちゃんの一方通行だったね!





さ、んっ!」

「何?」





廉からなんて珍しい・・・。





「俺っ・・・がんばるからっ・・・また、応援に・・・きて、ねっ!!!!」





わ、すごく嬉しい。





「うん!!もちろんだよ!!!」





学校休んででも見に行くよ!










―Fin


あとがき。

なんだこれ・・・。
れんれんだよ。うん。
れんれんなんだよ。
おおきく振りかぶっての主人公のれんれんなんだよ。

瀬陰暗鬼。