信じているから・・・
021.世界の何処かで
「音遠、雷覇くん、おかえり。お疲れ様。」
おじ様が天堂地獄となって、そして・・・それをやっつけて火影が終わってから一週間。
私は、音遠と雷覇くんと一緒に住んでいる。
二人から、紅麗には会えないときかされた。
紅麗・・・
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私と彼が出会ったのはおじ様の養子になったとき。
紅姉様が亡くなった後だった。
仮面をつけていた彼が、初めすごく怖かった。
私は体が弱く、長時間外出が出来なかった。
でも、私は紅姉さまが大切にしていたという、バラの庭園が好きで、よく通っていた。
そこには自由があった。
時間を忘れさせてくれた。
しかし、そのため長時間そこにいてしまい、発作がおきたことがあった。
その時助けてくれたのが彼だったんだ・・・
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「何をしている?」
「ッ・・・・紅麗様・・・・」
その時の私は発作で苦しくて、彼を怖いと思っている暇がなかった。
気管が狭くなってなるヒューヒューという音。
彼の名を呼ぶのがやっとだった。
『死』を覚悟した。
「・・・心臓病だったか・・・」
そう言っていた気がする。
そのあと、意識を手放した。
目覚めた時、私はベッドで横になっていた。
知らない部屋。
物が少なく冷たい感じがする部屋。
「ここ・・・どこ・・・?」
「落ち着いたら帰れ。」
彼・・・紅麗がいた。
「ここ、どこですか・・・?」
「・・・私の部屋だ。」
初めて、紅麗が助けてくれたことを理解した。
「あ、あの・・・助けてくださりありがとうございます。」
返って来ないと思いながらも話をふっかけた。
しかし、予想と違って声が返ってきた。
「何故、あの場にいた?」
「・・・・あそこには自由があるというか・・・・おじ様から開放されている気がして・・・」
「・・・開放か・・・」
私も聞きたかった。
何故、あなたがあの時あの場にいたか。
そして、どうして助けたのか・・・。
「私も聞いていい?」
返って来ない言葉。沈黙は肯定ってことで。
「どうして仮面をはずしてあの場所にいたの?」
仮面をはずしていたところをはじめて見た。
「紅のことを考えていた。」
言葉が足りない。
紅姉様とは一度しか会ったことがなく、この人と紅姉様の間に何が会ったのか、私は知らない。
「紅は薔薇が好きだった。」
やっぱり、言葉が足りない。
でも、この人は紅姉様が好きだったのだと感じた。
だから、これ以上は聞いてはいけないと思った。
「私のこと、何で助けてくれたのですか?」
「ほおって置けなかった。」
しっかりとした答えが返ってきた。
やっと成り立った会話を嬉しく思った。
「あなたに近付くと不幸になるとおじ様に言われたわ。」
「なら、早く帰れ。」
「でも、私はそう思わない。あなたのおかげで生を得たのよ?」
彼に対する恐怖という感情は消えていた。
「これでもか・・・?」
目の前に青い炎。
紅麗が私を遠くにやろうとしているようにも感じたが、私にはその炎を怖いとは思えなかった。
「綺麗・・・。」
正直、恐怖よりも、その美しさに驚いた。
感嘆の声しか上がらなかった。
「心臓病だったか・・・」
また、噛合わない会話。
「知っていたの?」
「アイツが残念がっていたからな。」
アイツ・・・おじ様のことだ。
「何故?」
「爆弾を体内に仕掛けられないからだろうな。」
何のことか初めはわからなかった。
しかし、紅姉様は爆弾で殺されたと音遠に聞いていた。
おじ様が殺した。
理解するのにさほど時間はかからなかった。
「なら、私は殺されませんね。」
紅麗が驚いている気がした。
「紅は私の傍にいて殺された。」
「私はあなたの傍にいてもいいですか?」
「死ぬかもしれない。」
「元から死の覚悟は出来ています。心臓病ってそういう病気。発作でいつ死ぬかわからないわ。
でも、手術で治るかもしれない。私、孤児だったでしょう?だから手術も出来なくて。
おじ様は私のことなんとも思っていないわ。手術を受けさせようともね。私に使うお金が勿体無いのでしょうね。
ただ、容姿が気に入っただけ。いつ死ぬかわからないやつを殺しても仕方がないでしょう?
あなたも元から死ぬものだと考えてくれていいわ。少しでも悲しみが和らぐのなら傍にいたい。そう思っただけよ。」
そして、「もし、殺されそうになったらあなたが守ってよ。」と言ったら彼が笑った気がした。
沈黙は肯定。
「紅麗って呼んでもいい?私のことはね。」
それから日に日に私は紅麗と一緒にいることが多くなっていた。
私は紅麗に恋をした。
紅麗は私の前では仮面をはずしてくれた。
互いに互いがいないと駄目な状況まで堕ちていった。
もちろんおじ様は私達が気に入らなかった。
しかし、私を殺そうとはしなかった。
パーティーに出たとき、私のことを大資産家が気に入ったらしい。
幸運だと思った。
しかし、裏武闘殺陣大会後、彼と会っていない。
おじ様が死んだ今も・・・
__________
音遠も、雷覇くんも、紅麗のことは一言を話そうとしない。
生死についても、何も・・・。
でも、私は信じているから・・・。
きっとあなたは世界の何処かで・・・あなたは生きているよね?
end。
あとがき
とりあえず、補足です。
主人公ちゃんは紅麗が戦国時代に言ったことを知りません。
いやあ、言わないんでしょうねぇ。
これの紅麗バージョンもちょっと書きたいなあと思っております。
思って終わりだろうけれど・・・。(あっははー。
気が向いたらってことで・・・・。
紅麗大好きだ。(お前がかよ。
瀬陰暗鬼