一人、窓から空を見て唸っている女がいる。





「リナリー・・・じめじめー・・・くせっけびよよーん・・・。」





一人、泣いている女がいる。





「なんで、神田はびよよーんってなんないのー!!」





一人、怒っている女がいる。





「もーやだあー。このくせっけ。」





一人、文句を言う女がいる。





「いいじゃないですか、似合ってて。」

「アレン君・・・。でもね、びよよーんって・・・。」

「ストレートパーマをかけるとか、後は短くするって手もありますよ。」

「短く・・・。」





こっちをジーッと見てきた。





「何だよ。」

「短くしてもいい?」

「・・・。」





昔、こいつが髪を切ったとき、長髪の方が良くて、文句を散々言った気がする。





「その顔は嫌なのね。」





そして、また空を見る。





「雨降らないかなあ・・・。」





湿気は嫌いだが、雨は好きなんだと。





「六月六日に雨ざあざあ降ってきてー。」





と、歌いながらこっちに向いてきた。





「もうすぐ神田の誕生日だね。」





それが言いたいがために歌ったのか・・・。





「六月六日はむむーの日♪」





そんな日があるわけねぇだろ。





「あ、神田はいつもむむーだね。」





楽しそうにくるくる回る。





「ね、雨ってさ、誰かが泣いてるように見えない?」

「見えねぇ。」





少しは考えてよ。と軽く笑う。





「私、明日から任務なんだ。」





悲しそうに笑った。





?」

「えへへ、少しこうしていたい。」





腰にまとわりつくの頭を軽く撫でて、抱きしめた。





「ちゃんと帰って来い。」

「うん。行って来ます。」










*










「嘘・・・嘘よ・・・にいさんっ!!嘘って言って・・・。」





泣き崩れるリナリー。





「嘘じゃない。冗談でもない。こんな冗談言わないよ。」





ずっとリナリーを気遣うコムイ。


俺は棺の前から数十分間動けなかった。





―えへへ、少しこうしていたい。





そう言った時、こうなることを感じていたのかもしれない。





「ユウ、大丈夫さ?」

「・・・・」





声をかけてきたラビを無視してその場から去る。


窓から空を見たとき、涙が頬をつたった。



そして空も・・・





―誰かが泣いているように見えない?





そうかもしれないな・・・。










013.六月の










きっと、誰かの感情に反応して雨は降るんだろう。










後書。

馬鹿な神田だからこそ、なせる技(笑)
可愛いな、神田。
女の子はふわふわのくせっけの可愛い子がいいな。
なんで、死ネタにしたかって?
最近シリアスしか書けなくなりつつあるからですよ。
甘ったるいのも書きたいなあ・・・。
これは、かなり、気にってます。

瀬陰暗鬼