こんなに切ないなら、好きになんなきゃよかった。
009.どうしてだろう。
「仁、英語の辞書かして。」
「は!?彼氏に借りろよ!!」
「嫌。だって・・・冷やかす人いるんだもん・・・お願い!!幼馴染のよしみで。」
「仕方ねぇなあ。飲み物一本で手をうってやろう(笑)」
「じゃあ、お昼の時勝手から来るね。辞書、ありがとう。」
幼馴染の女。唯一の女友達。
それが。
さっきの女。
そして・・・俺の思い人で・・・亀の彼女。
「仁!今、来てなかった!?」
「辞書借りに来た。」
「何で引き止めてくれないの!?会いたかったのに!!」
「教室にいねぇ亀が悪い。」
俺が自覚したのは亀とが付き合い始めてから。
一番近くにいたのに・・・とられたって思った。
は俺のもの。
そう思いながら生きてたのに・・・。
何で離れちゃったんだよ・・・って思う。
俺はのくるくる変わる表情が好きで、いろんな表情が見たくてがんばったのに、亀はただ傍にいるだけでくるくる変えて見せる。
二人を見てんのは辛い。
すごく辛い。
何で・・・亀なのかな・・・。
「仁、聞いてる?」
「聞いてないよー。」
「聞けよ!!」
「つーか、授業中じゃん。」
「いや、だから、問5、仁だって。」
「は!?早く言えよ!!それ!!!」
「言ってたって。」
「で、答えは何?」
「知らない。」
「亀の馬鹿!!」
「赤西、授業は聞こうなー。どうせ、エロイことを考えてたんだろ?」
「うっせーよ!!はげ!!!エロイことじゃなくて、今後の人生を考えてたんだよ!!」
うっせー・・・・。
ハゲのくせに・・・。
でも、この教師はまだいい方。
あーあ・・・世界が俺とだけにならないかな・・・。
____________
「じーん。」
「おわ!!」
「何してんの?」
「日向ぼっこ。」
昼休み。
つーか、また亀いねぇし。
「って亀がいねぇ時に来るのの天才だな(笑)」
「え!?またいないの?テレパシーが届かないのね・・・。」
テレパシー・・・送ってたのかよ!
とどかねぇテレパシーだな。
「!!」
「あ、和也君。」
嬉しそうな顔。
前までは俺だけのものだったのに・・・。
「あ、忘れてた。これ、ありがとう。助かっちゃった。」
「おー。」
「で、飲み物です。お茶とジュースどっちがいい?」
「ジュース。」
「はい。」
私、これ好きなんだあって渡しながら言うし。
何で俺のものじゃないんだよ。マジで。
「、明日映画行こうよ。」
「格闘物は見ないよ?」
「ラブストーリーv」
「行く!!」
亀と楽しそうに話すなよ・・・居心地悪い。
カタン・・・
「仁?」
「どうした?」
どうした?じゃねぇよ。
って、亀に当たっても意味ねぇか。
「ちょっと具合悪いから帰る。じゃな。」
「仁、大丈夫?」
んな顔すんなよ。
抱きしめたくなんじゃん。
「平気・・・じゃあな。」
何で苦しいんだろう。
どうして・・・。
こんなに切ないなら好きって気づかなくてよかった。
今まで通りで良かった。
こんなに切ないなら、好きになんなきゃよかった。
どうして好きになってしまったんだろう。
きっと答えなんかない・・・。
end。
あとがき
シリアス風味です。
亀ちゃん素敵。(ぇ
じんじんは書きやすいですね。
すごく書きやすいです。
困った時、スランプの時の赤西君です。(笑)
瀬陰暗鬼